厚生労働省によれば、日本国内で発達障害と診断された人は推計で約87万人。グレーゾーンも含めれば10人に1人ともいわれるが、企業における合理的配慮はゼロに等しい。
「目に見えない障害は、“ないもの”のように扱われているんです」
学習障害のひとつであるディスレクシアとADHDの当事者として、ユニバーサルな職場づくりを推進する緒方聡美は、そう指摘する。
「私は『なぜ、これが宿題なの?』と質問するような子どもで、学校では『面倒な生徒』とレッテルを貼られてきました。オーストラリアに留学したものの、現地の教育環境とも合わず、高校を中退。回り道をして現地の大学を卒業しました」
自身が輝ける道を模索し、人事の仕事に可能性を見いだした。“周囲と違う”視点がグローバル組織で評価され、シンガポールのNutanixなど名だたるIT企業に勤務。さらなるステップアップのため大学院を目指すなかで、ディスレクシアが判明する。
「選考課題のパズル問題がまったく解けなかった。それまでも、左右の感覚がわからない、地図が読めないなど日常の違和感はありましたが、努力で乗り越えられると考えていました」
2024年にADHDの診断を受けたことを機に、起業を決意した。
「一概に『やる気がない人』と片づけるのではなく、多様な脳の特性を理解し、“違い”が強みとして生かされる職場を増やしたいんです」
おがた・さとみ◎1986年生まれ。デンマークの国連機関などでグローバル人材採用、人事戦略に15年以上携わる。2025年、多様な脳にフィットする職場づくりを支援する「Beyond Bias」を設立。ニューロダイバーシティ専門家としても活動する。



