マイケル・セイラー(61):純資産額 約7520億円
マイケル・セイラーがフォーブス誌面に初めて登場したのは1998年9月、まだ33歳のときだった。当時、彼が1989年にMITを卒業したばかりで共同創業した、バージニア州タイソンズコーナーに本拠を置くソフトウェア企業マイクロストラテジー(MicroStrategy)は、データマイニングおよびビジネスインテリジェンス(企業のデータを分析し経営判断に活用する手法)ソフトウェア事業を手がけていた。同社はドットコムバブルに乗って好調に推移し、セイラーの個人資産はピーク時に140億ドル(約2.24兆円)近くまで膨れ上がった。だがバブルが崩壊すると、マイクロストラテジーは米証券取引委員会(SEC)と問題を起こし、データマイニングソフトもありふれたものとなった。マイクロストラテジーの株価は何年も低迷し、2020年にセイラーがビットコインに目覚めるまで、彼の名はほとんど聞かれなくなっていた。
「セイラーについて興味深い点の1つは、2010年代初頭、彼が実際に公の場でビットコインを批判していたことです」と、オランジェBTC(OranjeBTC)のビットコイン戦略担当ディレクター、サム・キャラハンは語る。「彼は優れた思想家ですが、同時に、過去の自分の信念に立ち返って疑ってみるだけの謙虚さも持ち合わせています」。
今やセイラーは、約84万ビットコイン、すなわち総供給量の4%超を保有する、世界最大の「ビットコイン・トレジャリー・カンパニー(ビットコインを企業の準備資産として保有する会社)」の頂点に立っている。推定資産47億ドル(約7520億円)のセイラーが本リストに名を連ねるのは、単にその見事な復活ゆえではなく、彼の財務工学が企業財務のルールを書き換え、数多くの企業の模倣者を生み出しているからである。
孫正義(68):純資産額 14.1兆円
ソフトバンクの創業者・孫正義は、2000年のアリババ(Alibaba)への伝説的な投資の成功を土台に、テクノロジーを未来へと推し進めるべく、2017年に1000億ドル(約16兆円)規模のビジョン・ファンドを立ち上げた。しかし、ウィーワーク(WeWork)の経営破綻と、2022年にソフトバンクのポートフォリオ全体で巨額の損失が発生した後、孫はスタートアップの過剰投資の象徴となった。
孫のAI覇権というビジョンを最終的に裏づけたのは、ChatGPTの爆発的普及であり、それが先見者としての彼の評価を取り戻させた。ソフトバンクは今やOpenAIの最大級の出資者の1つであり、650億ドル(約10.4兆円)を投じている。2026年第1四半期、ソフトバンクはOpenAIへの出資について250億ドル(約4兆円)の評価益を計上した。
ドナルド・トランプ(79):純資産額 約1.04兆円
しかし、フォーブスの「Iconoclast 50」に挙がるあらゆる復活劇の中でも、歴史的観点から見て最も偉大かつ重要なのは、第47代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプの復活である。2021年に1期目を終えて退任した時点で、フォーブスの試算によれば、トランプの純資産は政界入り前の最高額45億ドル(約7200億円)から24億ドル(約3840億円)へと減少し、25年ぶりに「フォーブス400」リスト圏外となっていた。
数々の有罪評決、法的判断、そして不利な世論調査の報道にもかかわらず、トランプの2期目はあらゆる大統領の慣例を脇に投げ捨てた。「トランプ2.0」は、富を築くことに照準を合わせている。今日、大統領の純資産は推定65億ドル(約1.04兆円)で、そのうち10億ドル(約1600億円)超は暗号資産によるものである。


