リーダーシップ

2026.06.18 13:30

AI時代のリーダーシップ最前線、日本が勝てる最後の強みとは

AI時代、リーダーは「寄り添い」と「支える姿勢」を

Brandon K.Hill|btrax CEO

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私は現在、米国と日本の2拠点をベースに活動しています。日本にいると気づきにくい課題も、外から見ると驚くほど鮮明に見えるものです。そうした日米間の差異や違和感を起点に、マーケティングやブランディング、UXデザインの提供に加え、AIを活用した新規事業やプロダクト開発に取り組んでいます。

2004年にサンフランシスコで起業して以来、強く実感しているのは、この街では2~3年ごとに事業のあり方を更新しなければ生き残れないという現実です。特にシリコンバレーは人の流動性が極めて高く、常にその時代に必要とされる人材が集まる、いわば世界の最前線です。近年ではAIの進化がその変化をさらに加速させています。自動運転タクシーが街を走り、従業員をもたずに事業を立ち上げる“ソロプレナー”も増えている。変化が前提となる社会です。

こうした環境と比べると、日本は変化を避ける傾向が強いようにも見えます。 AI時代は、検討している間に前提そのものが変わってしまう時代です。では、日本にチャンスはないのか。私はそうは思いません。むしろ、日本にはAI時代だからこそ価値をもつ領域が残されています。

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ひとつは飲食をはじめとする体験型ビジネス、もうひとつはアニメやゲームなどのIP・エンターテインメントです。これらは、人間が生み出す微細なニュアンスや情緒が世界観を形成しており、現時点のAIでは完全に代替することが難しい領域です。つまり、日本が競争力をもつのは、AIでは代替しきれない「人間的価値」の領域です。

一方で、日本の教育や人材育成は、依然として正解を効率的に導き出す能力を重視しています。これはまさにAIが得意とする領域で、ここに大きなギャップがあります。だからこそ、これからの時代に求められる人間の資質は別のところにあります。私はそれを「面白さ」と「一緒にいて楽しいと思わせる力」だと考えています。特にリーダーにとっては不可欠な要素になるでしょう。

なぜなら、AIは驚くほど「優しく、ポジティブな存在」だからです。人々がそうしたAIとの対話に慣れていくなかで、従来のような上下関係や強い圧力を前提としたコミュニケーションは受け入れられにくくなっていく可能性があります。だからこそ、AI時代のリーダーには、メンバーに寄り添い、支える姿勢がより強く求められるのです。

最後に、現在のサンフランシスコで求められている人材像に触れておきたいと思います。ひとつは、AIをはじめとするテクノロジーに精通し、それを用いて新たな仕組みやプロダクトを生み出せる人材。 もうひとつは、人を束ね、チームを構築し、物事を推進できる人材です。いずれも共通しているのは、「ひとりで10倍、100倍の価値を生み出せる人」という点です。 この構造は日本においても例外ではありません。AI時代においては、個の力と人間的魅力の両方を備えた人材こそが、より一層求められていくのではないでしょうか。

ブランドン・K・ヒル◎サンフランシスコ州立大学デザイン科卒業後、サンフランシスコと日本でデザインとテクノロジーを融合させた事業を展開。

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文=フォーブス ジャパン編集部 イラストレーション=ブラチスラフ・ミレンコビッチ

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