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2026.06.08 15:15

企業の地域共創が成功しない理由 「地域共創人財」こそ企業価値を高める新時代

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企業と地域をすれ違わせる“前提の違い”

今後、地域課題を共に解決していく上で、企業と地域は互いにとって重要なパートナーになりうる存在であるにもかかわらず、なぜこうしたすれ違いが繰り返されるのか。その根本には、両者の時間軸や意思決定のあり方に関する「前提となる価値観」の違いが大きく影響している。

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ここで、典型的なケースをあげよう。

ある人材紹介企業が地域の「担い手不足」という課題に着目し、自治体にアポイントを取り、現状の課題やニーズをヒアリングする。地元の事業者や関係団体も紹介され、顔を合わせる機会が生まれ、人材マッチングの提案をまとめたとする。

提案自体は合理的で、課題にも合致している。関係者の反応も決して悪くなく、担当者は手応えを感じて会社に戻り報告する。

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ところが、その後連絡をしても返事が鈍い。企業側は「なぜ進まないのか」「どうしたら進むのか」と戸惑い、社内からは「どうなっているのか」という声が上がり始める。

しかし、地域側には地域側の事情がある。過去にも同じような企業が来て、最初は熱心だったが、担当者が異動になり、連絡が途絶えた経験が、幾度となく積み重なっている。「どこまで本気なのか」「どうせまた異動になるだろう」——そうして傷ついてきた歴史からくる企業への不信感が根底にはある。

結果として、この取り組みは具体化に至らないまま、静かに終わっていく。

このすれ違いは、能力や意欲の問題ではない。企業は経済合理性と効率性で提案し、地域は関係性資本を最重要評価軸として意思決定をする。合理的な提案が、意味のある提案とは限らない。その根本的な判断軸の違いが、善意を持った両者を静かにすれ違わせている。

地域はプロジェクトではなく個としての信頼と関係性で動く

では、どうすれば企業は地域と本質的につながり、事業創出へと至ることができるのか。

鍵となるのは、「個人同士の関係性から始める」という順序である。

多くの企業が陥るのは、「何をやるか」を先に決めてから地域に入るという順序のミスだ。事業アイデアを持って地域に入り、それを実現しようとする。しかし地域はその「プロジェクト」に乗ってくれない。なぜなら、地域の人々にとってその企業ないし担当者はまだ「よく知らない誰か」だからだ。

正しい順序は逆である。まず、利害関係をなくフラットに個人として相互理解を深めるための対話をし、その中で地域のリアルな課題を共有し、小さな実践を重ねながら信頼を積み上げ、その延長線上に、気づけば事業が立ち上がっている——そういうプロセス体現した一例が、「渋谷をつなげる30人」においてシリコーン専門商社であるニッシリ(東京都渋谷区)の取り組みだ。

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文=加生健太朗

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