この米AI大手OpenAIは現在、急成長するライバルのアンソロピックと上場をめぐる競争状態にある可能性がある。両社とも先行者利益を活かしてより多くの資本を呼び込もうとしている。10月までにOpenAIに少なくとも追加で200億ドル(約3兆2000億円)を投資することを約束しているソフトバンクは、この米巨大企業の価値がさらに上昇すれば恩恵を受ける立場にある。
東京海上アセットマネジメントのシニアファンドマネージャー、秋澤宏典によると、OpenAIは上場時に約1兆ドル(約160兆円)の評価額に達する可能性がある。これは、報道によると750億ドル(約12兆円)の調達を目指している億万長者イーロン・マスクのスペースXの上場など、大型案件に対する市場の熱狂を背景としている。
そして孫氏は、AI投資へのコミットメントにもかかわらず、これまで財務規律を維持してきた。モーニングスターの5月のリサーチノートによると、ソフトバンクのレバレッジ(資産価値に対する負債比率)は、第4四半期中に18%から17%に低下した。同社は25%の自主的なレバレッジ上限を設けている。過去に多額の借入が市場に大きな懸念を引き起こしたためである。
しかし、ドイツ銀行のアナリスト、ピーター・ミリケンは6月2日のリサーチノートで、航海が完全に順風満帆というわけではないと警告している。OpenAIはアンソロピックとの激しい競争に直面している。アンソロピックは5月の資金調達ラウンドを経て企業価値評価が9650億ドル(約154兆円)に達し、OpenAIを上回った。また、より安価なオープンソースのAIモデルも世界的に普及しつつあり、OpenAIの売上成長を阻害する可能性がある。
「ソフトバンクはすばらしい上昇を見せてきたが、それは主に賢明な投資によるものであり、一部はマニア的な兆候を見せ始めた強気相場によるものだ」と同アナリストは記している。「アナリストや投資家は短期的なモメンタムに固執し、詳細な前提に基づいて長期的な軌道を描くことへの関心が薄れているか、あるいはそれができなくなっているように見える」


