13. エージェントスーパーバイザー
マッキンゼーがいうところの「M字型の監督者」(複数の領域にまたがる知見と、複数のエージェンティックAIを指揮・統括するスキルを併せ持つジェネラリスト)で、エージェントを指揮し、ハイブリッドな労働力を束ねる。世界四大会計事務所の1つであるKPMGは、エージェントは報告ラインを含めて組織図に載り、人材と同様に管理されるべきだと主張する。そのデジタルチームを運営する人物は、エンジニアではなくマネジャーである。
14. AIトレーナー・データアノテーター
AIの教師として、モデルが学習するデータにラベルを付け、人間のフィードバックによって出力を調整する。LinkedInはデータアノテーターを、前述の130万件という数字を支える主要3職種の1つに挙げる。AI関連の仕事に就くための最も手軽な入口の一つである。
15. 会話デザイナー
エージェントの声を設計する。AIが顧客や従業員にどう話すか、トーン、フロー、不確かなときのフォールバック(代替手段への切り替えなどで稼働を継続する仕組み)を形作る。コーディングではなく、文章と体験の専門領域である。
16. 人間・エージェント統合ワークフォースリード
新しい人事機能である。KPMGは、人事がエージェントのパフォーマンスとエンゲージメントを人間と同様に管理すべきだと主張する。人とエージェントの両方を対象にした人員計画を策定し、ハイブリッドチームのためのキャリアパスを再構築する。
17. AI法務・ポリシーカウンセル
知的財産権、データ権利、EU AI法および拡大する米国州法への準拠を担う。エージェントの行動が経済的損失につながる場合、事前に誰が責任を負うのかを定めるのは、この役割である。
18. AI増強型セールス・GTMスペシャリスト
マッキンゼーが最大カテゴリーとする職種。エージェントが調査やフォローアップを担うことで、現場の営業はシステム操作に費やす時間を減らし、人との対話により多くの時間を使える。役割は消えるのではなく形を変える。
19. AIカスタマーサクセスマネジャー
Boxが顧客側で生じていると説明した需要を捉える。単なる販売ではなく、アカウント内で導入を推進し、成果を証明する。エージェントの展開と拡大を軸に再構築されたカスタマーサクセスの形だ。
20. AI監査・アシュアランスリード
AI管理システムに関する初の国際規格である「ISO/IEC 42001」などへの基準をAIシステムが満たしているかどうかを、独立して検証する。リスク、監査、コンプライアンスの専門職にとって自然な転身先となる。
エージェンティックAIが実際に示すもの
この20職種はいずれも、企業がプレスリリースではなく組織図を変えた証拠である。これらの職種は、経営陣がエージェンティックAIを通じて事業を運営することを決定したときにのみ採用される。だからこそKPMGは、大企業の70%が3年以内に組織再編を計画していると報告した。
このうち10職種は、そもそもエンジニアリングの仕事ではない。戦略、プロダクト、人事、法務、営業、アシュアランス(保証)の役割であり、2年前には現在の形では存在しなかった。採用データは、これがオペレーティングモデルになりつつあることを示している。AIが奪う仕事はこれからも見出しを飾り続けるだろう。一方でAIが生み出すエージェンティックAIの仕事は、静かに、5年後も存続する企業を決める。


