ニューロダイバーシティマネジメントの構成要素
1. 得意に特化できる業務設計
2. 業務と個人が持つ特性のマッチング
3. 柔軟な就労環境
「1.得意に特化できる業務設計」については、前回も触れた点だ。例えば「細部に気づく能力」(ASD)や「他者と違う考えをする点」(ADHD)など、強みとなる特性に着目し、総合職型ではなくジョブ型の職務定義などで、それらを発揮しやすくすることだ。同時に本人が不得意なことも、業務設計で切り離しやすくすることが望ましい。
そのためには、事前に業務特性を整理しておく必要がある。例えば、緊急性が高い業務の発生有無や計画変更の頻度、マルチタスクを前提とした業務か、などだ。これらは発達特性がある人にとっては不得意な場合があり、切り離しの可否を含めて予め整理をしておければ、ミスマッチが起こりにくい。
また、作業特性についても、整理しておくことが望ましい。例えば、情報収集やその整理をする作業が多いのか、収集した情報を一定の手順で処理する反復的な作業が多いのか、作業そのものを組み立てる仕事なのか、などだ。取り扱う情報の量や内容によって必要とされる知識やスキルは異なるものの、発達特性との相性が良い作業を意識的に振り分けられると良い。
例えば、ASDの典型的な特性のひとつに、「反復的な処理が得意であること」が挙げられる。そうした発達特性がある人は、同じ手順の繰り返しで多くの人が飽きてしまうような作業であっても、集中力を保ち、正確にこなすことができる傾向がある。
面接だけじゃ見抜けない、「急がば回れ」の採用戦略
「2.業務と個人が持つ特性のマッチング」は、特に採用段階で行うべきことだ。1で定義された業務に対して、個人がもつ特性とフィットするかを、採用段階から実務ベースで確認していくことが重要になる。
例えばASDの典型的な特性に、口頭でのコミュニケーションや即応的な会話が難しいなどといったことがある。これらは面接では当たり前に求められるスキルであり、上手くできないと低評価になることが多い。
仮にチャットでのコミュニケーションで全く問題がなかったり、理路整然とした文書を作成できるスキルがあったりしても、面接中心の採用プロセスでそれらを見い出すことは難しいだろう。
また、ADHDの場合、面接では人当たりの良さや流暢な話しぶりなどから、聡明で機知に富んだ印象を与えることがある。一方の実務では、マルチタスクや段取りを整理する作業が苦手な側面が見えてくることもある。
このように、面接だけでは個人の特性と業務の適合性をなかなか判断しづらい。そのためインターンシップでの就業体験を通して、確認していくことがポイントだ。


