約65パーセントが朝鮮族(韓国系中国人)
ソウルに関する日本語観光情報サイト「ソウルナビ」では、大林について<こぢんまりとした通りに中国料理の店、中国語の広告がいっぱいの携帯電話ショップ、旅行社、コスメ店、雑貨店、食料店など、いろいろな店が並んでいる>と紹介している。
また<よく目につく看板は『麻辣湯(マーラータン)』。(中略)階段をのぼってドアを開けるといきなり中国語で話しかけられます。壁にあるメニュー表を見たら中国語オンリー! マーラータンと中国語っぽく言うと通じました>とある。
そして、情報サイトでは次のように続く。
<メインストリートをまっすぐ約450メートル歩くと、左手にあるのが大林中央市場。小さな路地に野菜、魚、肉、お惣菜、日用品などが並んでいます。八百屋さんには中国料理に欠かせない香菜(コリアンダーの葉)や中国の唐辛子、インゲンが並び、中には犬肉!の看板も。ハチノス(牛の胃袋)や鴨、豚肉を使ったお惣菜、干豆腐(干し豆腐)、中華まんや中華クレープなど小麦スナックのお店もあって、見ているだけでも楽しい>
さらに興味深いのは、「ソウルナビ」の次のような指摘である。
<買い物に来ている人たちもほとんどが中国語を話しています。特に中国系の商店がたくさん集まる大林2洞(テリムイードン)は住民の8割が外国人(約14000人)だとか。この数字だけでも驚きですが、そのうちの約97パーセントが中国国籍で、特に中国東北部からやってきた朝鮮族(韓国系中国人)で占められています>
ここで言う「朝鮮族」が、韓国に移民として来るようになったのは、1980年代後半から90年代初頭のこと。韓中の国交正常化は、日本に遅れること20年の1992年だったが、中国では1980年代から始まる改革開放政策によって海外渡航が解禁されたことから、まずは親族訪問から往来が始まった。
国交正常化以降、同じ言語が通じる強みと、高い収入への期待から、建設現場や製造業、飲食店、介護などの分野へ、多くの朝鮮族が季節労働者として流入した。実際、大林や加里峰の近くに九老工業団地があり、その周辺に彼らが住み始めたのが、今日のガチ中華タウンの始まりとなっている。
2000年代になると、韓国政府が彼らを「在外同胞」と認めることで、単なる出稼ぎ労働者から「韓国社会の定住者」へと法的地位も獲得し、さらなる定住化が進む。
韓国法務部の最新統計(2025年末〜2026年現在)によると、韓国に滞在する中国籍の総数は約96万〜98万人(短期滞在者含む)で、そのうちの約65パーセントが朝鮮族(韓国系中国人)だという。
日本と違い、韓国の出入国管理統計では、中国籍を「한국계 중국인(韓国系中国人=朝鮮族)」と、それ以外の「중국(中国=漢民族など)」に明確に区分して集計しているようだ。


