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キャリア・教育

2026.07.09 15:15

「どうしたら、脱がずに生きていけるのか」。風俗嬢が自分の名前で働ける社会とは

Getty Images

就労後も、消えない未練

性風俗の仕事をやめて、一般の仕事についた後に生じる最も大きな副作用は、「戻りたい」という気持ちに襲われることだ。

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ゆかりさんは、一度リゾートバイトの仕事に移行するも、再び性風俗の仕事に戻っている。みかこさんは、経済的な余裕がある一方で、心の中ではまだ完全に折り合いがついていないために、「戻るかもしれない」と感じている。あやめさんは、性風俗で働いていた時のことが懐かしくなって、ふと「戻りたい」と思う時もある、と語っている。

安心や幸福といったポジティブな状態は、実は無条件で享受できるものではない。長年不安に追われて、孤独の中で生きてきた人は、安心して暮らせる環境や、愛情深いパートナーを見つけることができても、「不安になっていないと不安」「自分には愛される資格がない」と感じて、形状記憶合金のように、以前の生活に戻ってしまうことがある。安心や幸福を受け入れ、享受し続けるためにも、一定の前提や訓練が必要になるのだ。

性風俗の仕事への未練を語っておらず、出戻りもしていないのは佳菜子さんだけである。「自分の中では、やりきった、という思いはあります」「たくさん働いて、お客様にも大勢ついて頂いて、稼がせてもらった」と語っている。この世界でやるべきことはすべてやった、得るべきものはすべて手に入れた、という実感があれば、未練や執着を断ち切ることができるのだろう。無論、それは誰もがたどり着ける境地ではないが。

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恋愛やセックスへの関心が消失

もう1つの特筆すべき副作用としては、性行為に関心がなくなることだ。佳菜子さんは「風俗の仕事をやめてから、自分の身体をいたわってあげられるようになりました」と振り返る一方で、恋愛やセックスに対する興味関心が一切無くなったと述べている。

みかこさんも、パートナーとの性生活がなくなっているが、「身体を提供しないと人とつながれない、という感覚」が残っており、身体の提供を介したコミュニケーションを取らないと「自分には存在価値がないのでは」という気持ちになってしまう、と語っている。

性風俗の仕事を長期間続けていると、性行為に対する感覚が麻痺してしまったり、金銭を介さない性行為が逆にできなくなってしまう、ということが起こり得る。

性行為ができなくなる・関心がなくなるということは、他者とつながるための回路を1つ失う、ということに他ならない。これらは、社会の中で生きていくうえで、金銭感覚の狂いと同じ、あるいはそれ以上に深刻な副作用だろう。

性生活の欠如が、やめた後の生活にどのような影響を及ぼすのかは、今回のインタビューでは明らかにできないが、性風俗の仕事に一定期間従事することで、パートナーとの性行為ができなくなる・関心がなくなるリスクがある、ということ自体は、より広く周知されるべきだろう。

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