「最善」で「予測できない未来」描く
広島県では、AI関連施策を加速させている。24年には産学官による連携の下、高校生がAI活用を学び社会課題に取り組む「ひろしまAI部」、県内企業とAI開発者をマッチングさせる「ひろしまAIサンドボックス」、さらに県庁業務の効率化やサービスの創出に向けて探索・研究を進める「広島AIラボ」を県庁内に設けた。人口減少が進むなか、一人ひとりがもつ力を拡張させていくためにAIの活用は不可欠だと横田は考えるが、それによってリーダーシップも変わってゆくのだろうか。
「本質的には変わらないんじゃないでしょうか。社会のなかでAIが広がれば広がるほど、リーダーには“どう自分が選び取っていくか”という、リアルな実感とか判断力がますます求められていくと思います」
AIの出現によって、情報量は増えたように思われる。質量ともに高度化していくなかで、確かな判断軸が必要だ。
「社会には多様な声があり、なかには利己的なものもあります。私にとっての判断軸は、県民にとっての最善を考えること。それは“今”生きている人たちのことだけではなく、次世代のことも含んでいます。『時間を見方につけよう』と部下にはよく言うのですが、数年後を見据えた地ならしや検討の継続が大事だと考えます」
時間やコストの効率化など“今”に焦点を合わせたAI活用が広がるが、横田の目線はもっと先。「今後も社会が変わり続けていくことを踏まえて、広島県を発展させていく方策を取らないといけない」。予測できない未来を描くことこそ、人間にしかできない領域だ。
最後に目指したいリーダー像を聞くと、「絶対に逃げない」と返ってきた。トップが逃げ出すと周囲も困るし、何より格好よくないからだ。「美しい、楽しい、がキーワード。そんな広島県をつくっていきたい」。横田らしさが詰まった言葉だった。
よこた・みか◎1971年、広島県呉市生まれ。10代のうち5年間をリオデジャネイロで暮らす。東京大学卒業後、95年に農林水産省に入省。2008年にコンサルと保険の民間企業に出向し、19年に農林水産省経営局就農・女性課長に就任。富山県副知事と広島県副知事を経て、現職。


