停滞を許さない「実行のリーダー」
今回の社長就任は、3年をかけて実行された緻密な「サクセッションプラン」の帰結である。16人の候補者を集め、座学を含む2代目社長研修と選抜プロセスを経て、最終的に山内が指名された。
藤田は、山内にバトンを託した決め手を、スキル以上に「文化への深い理解」と「やり抜く力」だったと明かしている。山内は、単なる後継者ではない。創業者が築いた「自由と自己責任」というOSを誰よりも高い解像度で運用し、停滞を許さない「実行のリーダー」だという。
AI時代のリーダーとして、山内は「AIネイティブ世代」を意識する。「リーダーとして資源のなかでもいちばん重要な人的資本をアロケーションするにも、この世代との共通言語をもっておく必要がある」と話す。
「全員がAIで意思決定するようになったら、もうそれ自体に価値がなくなる。構造を理解したうえで最適解を出していく未来が待っているので、AIを武器にしながらも構造自体をクリエイティビティをもって考えられる人材が重要になってきます」
サイバーエージェントの現在地は、かつてないほど強固だ。2025年度の連結売上高は過去最高の8740億円を記録。ABEMAという先行投資を続けてきたメディア&IP事業は10年ぶりに黒字化を達成した。この勢いを加速させるべく、山内は今後4年間、藤田との二人三脚体制で中長期戦略としてのIP創出、そしてその先の成長曲線を描く。その戦略の核となるのが、広告・ゲーム・メディア&IPという3セクターを結合させ、強力なシナジーを生む「かけ算」のロジックだ。
藤田から秘伝の経営ノウハウを継承しつつ、自身の強みである「市場の見極め力」を生かした情報戦略と実行力でアップデートしていく。山内率いる新生サイバーエージェントは、今、未知の領域へと加速を始めた。
やまうち・たかひろ◎2006年サイバーエージェント入社。09年にCyberZ社長就任、スマホ広告市場を開拓。12年、サイバーエージェント取締役に就任し、アニメ&IP事業の統括を経て25年12月、同社2代目の代表取締役社長に就任した。


