AI

2026.06.12 14:30

AI時代のリーダーに必要な「器」の磨き方

もうひとつの手段は、他者の目を借りること。我々の目は何のためについているか──言うまでもなく外部を見るためですよね。だからこそ他者が必要です。それも、客観的に見てくれる人。むしろ自分と対立するくらいの人が最適かもしれません。見立ては厳しいかもしれませんが、視野や「器」のとらえ方が広がるはずです。私は、日本ラグビーフットボール協会でコーチのコーチであるコーチングディレクターという仕事をしてきましたが、自分自身に経験のない分野ではいつも「お前、やったこともないくせに」と言われる。最初は傷つきましたが、相手の立場から見ることで、相手の攻撃性は否定されることや評価されることに対する恐れに起因すると気づきました。それからは、権威性を出さない接し方を心がけています。

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ただし、このような手段でも「人の器」は一朝一夕で磨かれるものではありません。それは、自分を大きく見せようとする人が、小さく見えることからもわかるでしょう。さらに人間は生物なので、状況次第で器の大きさも変わります。だから、自分の器を小さいなと思っても、小さいなりに味わっていくことが大事。少しずつ磨き続けて、“気づいたら成熟していた”というものなのです。

リーダーに必要な「自分語化」

AI時代は、共創型リーダーの時代でもあります。3つめの手段としてリーダーの皆さんに心がけてほしいのは私が提唱している「自分語化」という考え方です。自分語化とは、「言語化」と「自分事化」の概念を組み合わせた造語で、「こう思うんだよ。こうしたいんだよ」という気持ちを適切に言語化することです。

これまでリーダーは機械的に指示をするカリスマ型のほうが都合が良かったので、感情を殺してきました。それが今は「自分語化」ができるかどうか、メンバーのやりがいやモチベーションといった感情に敏感かどうかが重要になっています。

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これは心理学のバルネラビリティという概念なのですが、リーダーが自分をさらけ出せるか、困ったときに助けてと言われる存在になれるかどうかが大事。年をとればとるほど自分の感情をさらけ出すことを“弱い”ことだと感じる人が多いですが、むしろ勇気がある行動であり強さの証です。さらけ出すことが難しいと思うのであれば、まずはシンプルに「ありがとう」「ごめんなさい」と、感謝や謝罪から始めてみてください。AI時代だからこそ、生物としての人間の真価が「器の大きさ」を通して問われているのではないでしょうか。


なかたけ・りゅうじ◎チームボックス代表取締役CEO。英国レスター大学大学院社会学修士。大学ラグビー2連覇の指導経験と成人発達理論を融合し、企業のリーダー育成と組織変革を支援。JOCサービスマネージャーとして全オリンピック競技の指導者育成も担う。

文=古賀寛明 イラストレーション=マット・マーフィー

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