よく知られた修正可能なリスク要因は、今やおなじみだ。肥満と喫煙、そしてアルコールである。2000人超の成人を対象とした大規模な疫学研究から、男性であること、40〜64歳であること、肥満であること、そして喫煙習慣が、慢性的ないびきの独立した予測因子であると明らかになっている。
アルコールとの関連も、生理学的に理にかなっている。アルコールには中枢神経を抑制する作用があるため、もともと脆弱な咽頭拡張筋の筋緊張をさらに低下させ、気道をより潰れやすい状態へ追い込む。対照的に喫煙は、気道の炎症と粘膜浮腫によって内腔を狭め、空気の流れへの抵抗を高めると考えられている。
ただし環境要因の物語は、それだけではない。いびきは、生活習慣だけでは説明できない形で家族内にみられることもある。バイオバンク「UKバイオバンク(UK Biobank)」の40万人超のデータを用いた過去最大規模のゲノム研究では、習慣的ないびきと関連する遺伝子領域が42カ所同定され、脳全体および小脳、肺、食道で発現する遺伝子を含むと報告した。
同研究で実施したメンデルのランダム化解析(リスク因子と疾患発症の因果関係を統計的に推測する分子疫学的手法)では、高いBMIといびきの関係が単なる相関ではなく因果関係であることを示す証拠が見つかった。これは、減量が理にかなった介入であることを示唆する。
では、いびきはいつ、社会的な迷惑から医療上の懸念へと格上げされるべきなのか。鍵となるサインは次のとおりだ。
・日中の過度な眠気
・睡眠中に呼吸が止まっているのが目撃される
・頭痛や喉の乾燥で目覚める
・集中しにくい
・血圧が高い
これらは、閉塞性睡眠時無呼吸を示唆している。閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に気道が完全に、しかも反復して閉じ、間欠的な低酸素と睡眠の分断を引き起こす状態だ。この重症のいびきは、測定可能な二次的影響を及ぼす生理学的ストレス因子となる。
結局のところ、人の気道は進化的妥協の産物だと言える。私たちは、明瞭かつ効率的にコミュニケーションを取る能力と引き換えに、構造的な堅牢性を多少、犠牲にしたのだ。たいていの夜、その仕組みは持ちこたえる。だが、ときに持ちこたえられない。そして、その破綻が生む音は、私たちの最も驚くべき特性には、しばしば思いもよらない隠れた代償を伴うことを思い出させる。


