『American Journal of Otolaryngology』に掲載された2018年の系統的レビューは、時間の経過とともにいびきが悪化する背後にある有力な機序として、軟口蓋と咽頭拡張筋の進行性ニューロパチー(神経障害)を挙げている。夜ごとに生じる振動の反復による機械的外傷が、気道を開いた状態に保つその筋肉と神経を損傷している可能性があるという。
つまり、皮肉なことに、いびきはそれ自体を悪化させうる。
いびきをかく理由は、話せる理由でもある
いびきは、一部の人に見られる単なる解剖学的構造の緩みの結果ではない。本質的な意味で、それはいわば「言語獲得の代償」なのである。
人の上気道が他の霊長類と決定的に異なる点を考えてみよう。多くの哺乳類は喉頭が首の高い位置、頭蓋底の近くにあり、嚥下時に軟口蓋と噛み合うようになっている。この配置は呼吸と嚥下の同時進行を可能にし、気道は比較的閉塞しにくくなる。
一方で人では、喉頭が首のかなり下方へと下降している。そして研究者によれば、この再配置こそが、明瞭な発話を可能にする共鳴腔の発達に不可欠だったという。
喉頭が低い位置にあることで、舌は部分的に口腔咽頭へ移動した。軟口蓋は短くなった。口腔はよりコンパクトになり、顎は脳頭蓋に対して後退し、口腔と頭蓋底の角度はより鋭くなった。かつて狭いながらも頑丈な通路だった咽頭は、幅広く柔軟で、音響的に豊かな、しかし構造的に脆弱な管へと変わった。
これは、睡眠時呼吸障害に関する文献で提唱され、『Sleep Medicine』などの学術誌に掲載された「偉大なる飛躍(Great Leap Forward)仮説」である。研究者らは、ホモ・サピエンスに複雑な発声能力をもたらしたのと同じ解剖学的な再構成が、睡眠中には喉の軟部組織が気道を閉塞しうる位置をつくり出したのだ、と主張する。
ではなぜ、進化における自然選択はそれを排除しなかったのか。それは、単純に「見えなかった」からである。閉塞性睡眠時無呼吸が健康に与える深刻影響(高血圧、心血管疾患、脳卒中など)は主に40〜60歳に現れる。この年代は歴史上、ほぼあらゆる人間社会において生殖年齢のピークをとっくに過ぎており、近代に至るまでは平均寿命をも超えていた。
生殖期間を終えた後になってから代償を払う形質は、進化論の観点から見れば、子孫を残すうえでの不利益が生じないため実質的に「ノーリスク」に等しい。いびきを修正しようとする選択圧はそもそも存在しなかったのである。言語、協調、社会的結びつきといった恩恵は、同じ解剖学的特徴から早期に獲得され、多大なる恩恵をもたらした。いびきは、進化的には「他人の問題」だったのだ。
いびきが「心配すべきもの」になるのはいつか?
習慣的ないびきは、成人男性の35〜45%、成人女性の15〜28%に現れ、男女ともに加齢につれて有病率が上昇する。性差は一貫して顕著であり、上気道の解剖学的差異や咽頭周囲の脂肪分布、筋緊張に対するホルモンの影響の違いを反映している可能性が高い。女性では閉経後、これらの要因が収束していびきリスクが高まる。


