人員削減が「成果物」になったのは、実際の変革作業こそが困難だからである。テクノロジー自体は簡単だ。しかし変革は遅く、華やかさもなく、資金調達も容易ではない。文化的なインフラへの投資は、投資した四半期の損益計算書に反映されない。だが、人員削減は反映されるのだ。
心理的安全性──MITテクノロジーレビューの調査で経営幹部の83%が「AIイニシアチブの成果を測定可能なかたちで向上させる」と認めた要素──は、まさにそのイニシアチブの内部で侵食されている。従業員がそのテクノロジーが自分を補完するためのものなのか、置き換えるためのものなのかわからない場合、導入は遅れ、実験は止まり、AIが実際に価値を生み出す条件は消滅する。AIで成功している企業は、人員削減をイノベーションの証明として扱わない傾向がある。彼らはより困難なこと──AIが成果を上げるための条件を構築すること──に取り組んでいるのだ。
取締役会は人員削減を求めたのではない。AI戦略を求めたのだ。返ってきたのが人員削減だった。
取締役がCEOに「会社はAIについて何をしているのか」と尋ねる。直近の決算説明会ですべてのアナリストから同じ質問をされてきたCEOは、リーダーシップを感じさせる答えを必要としていた。そこでCEOは数字を提示する。パーセンテージ。タイムライン。何か理解しやすいもの。そしてそれに対して成果を出さなければならなくなる。
AI投資のリターンを生むための本当の作業、すなわちワークフローの再設計や管理職の再訓練、データ基盤の再構築は、着手したその四半期には現れない。規律があれば、2〜3四半期後に現れる。だがそのどれも、CEOが先ほど約束してしまった期間内には収まらない。
ところが、人員削減は期間内に収まる。人員削減は、発表したその四半期に営業利益率として現れるのだ。取締役会がすぐに確認できる数字を生み出す「AI導入にかこつけた手っ取り早い手段」は、これしかない。
また、AI主導と発表された多くの人員削減が、実際には別の理由によるものだったという証拠もある。ゴールドマン・サックスのアナリストは2025年末、人員削減を発表した企業は同業他社と比べて負債が多く、設備投資が多く、利益成長率が低いと報告した。これは、人員削減がAIの効率化による成果ではなく、財務的な苦境への対応であることを示唆している。それに対して投資家は、人員削減の発表を評価するどころか、むしろ批判し始めた。
この力学に直面する取締役会にとって、問うべきは「自社のAI戦略は何か」ではない。この聞き方は、わかりやすい数値と、それに続く人員削減を生む。より有用な問いはこうだ。「予測しているリターンをAI投資が生み出すために、人、データ、文化について何が真実でなければならないのか」
その問いに答えるには、採用発表やプレスリリースは不十分だ。多くの企業が「任意」だと見なしてきた種類の仕事を通してのみ、答えられる。
このシグナルは無視しづらくなっている。AIのリターンを得ている企業は、最も積極的に人員を削減している企業ではない。人々がツールを使うことを恐れていない企業である。


