AI

2026.06.11 15:30

安野貴博と松尾豊が語るAI時代のリーダーシップ。自分が寝ていても仕組みで回る組織

(写真左)安野貴博|AIエンジニア、SF作家、参議院議員、チームみらい党首・(同右)松尾 豊|東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻教授

(写真左)安野貴博|AIエンジニア、SF作家、参議院議員、チームみらい党首・(同右)松尾 豊|東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻教授

多くの企業がAIを導入し組織を変革するなか、リーダーに求められる役割や能力はどう変わるのか。AI研究の第一人者である松尾豊と、国政でもリーダーシップを発揮する安野貴博のふたりがForbes JAPAN 「THE LEADERSHIP AI時代のリーダーシップ」特集のなかで解説する。


AIの普及により人間が働かなくていい未来がやってくる──。ビッグテックには、こうした予言をするリーダーが少なくない。そんな時代に組織マネジメントやリーダーシップはどのように変わるのか。AI人材を多数輩出する東大の松尾豊教授と、松尾研出身のAIエンジニアで、チームみらい党首の安野貴博に、AI時代のリーダーシップについて語り合ってもらった。

──AIによって労働や組織にはどのような変革が起きるのでしょうか。

安野貴博(以下、安野日本は今絶妙なところに立っています。すでにあらゆる産業で人手不足。このままでは深刻化する可能性が高く、AIやロボティクスを使い倒していかないと社会を維持できません。

一方、AIで労働市場の需要も変化しうる。2025年はAIコーディングエージェントによってプログラミングのやり方が激変し、生産性は明らかに向上しました。最近すごいなと思ったのは、AIがC言語(プログラミング言語のひとつ)のコンパイラ(翻訳プログラム)をワンショットで生成して、Linux(OS)をブートするところまでやったという話。それが動くかどうかを人間がテストする必要はまだありますが、もうAIが勝手に大きくて複雑なシステムをつくってくれる時代に入ったわけです。

変わるのはプログラマーの仕事だけではありません。近い将来、ホワイトカラーのさまざまな職種の仕事のやり方が変わっていきます。そうした想定のなかで、いわゆるAI失業と呼ばれるものが早期に起きるかもしれない。不確実性は高いけれど今動き出さないとマズいという状況にあるのかなと。

松尾豊(以下、松尾コーディングが自動化されてオンザフライでできるようになれば、必要なものを必要なときにソフトウェアとしてつくれる。プラットフォームやアーキテクチャ、さらに標準化といった考え方も要らなくなる可能性があります。情報産業が変わるだけでも社会に巨大な変化をもたらすのです。この変化はすでに海外で起きていて、大きなうねりとして押し寄せています。

ただ、人間が働かなくてもよくなるかといえば疑問です。僕もClaudeに仕事を投げることで生産性がとても上がっています。でも、待つ間にほかの仕事をしているからちっとも暇にならない。これはデジャブで、昔PCにソフトウェアをインストールしようとして、それを待つ間ずっとほかのことをしていて結局徹夜になった記憶がよみがえりました。そう考えると、人間は相変わらず忙しくしているのかもしれませんが、全体で見ると生産性は大きく向上するとは思いますね。

次ページ > 人間とAIを区別すべきか

文=村上 敬 写真=ヤン・ブース

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事