AI

2026.06.11 15:30

安野貴博と松尾豊が語るAI時代のリーダーシップ。自分が寝ていても仕組みで回る組織

(写真左)安野貴博|AIエンジニア、SF作家、参議院議員、チームみらい党首・(同右)松尾 豊|東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻教授

──AI時代に求められるリーダーシップとはどのようなものでしょうか。

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松尾:リーダーは意思決定が大事です。自分で意思決定するなら、成功しようが失敗しようがかまわない。人間の脳はニューラルネットワークなので、ポジティブでもネガティブでもサンプル数が多いほど次の意思決定の精度が高まります。

ゲームのルールを推測する力も大切です。ルールに沿った最適行動を見つけることが得意な人は多いです。しかしルールが明示されない、あるいはルールができていない領域に重要なものが潜んでいることも多いですよね。テクノロジーでゲームが変わっていく今は特にそうで、ルールを知らなくても推測しながら進める人が成功しやすい。安野くんもその能力が高いから、新しい世界に臆せずに飛び込んでいけるんだと思います。

安野:今はマジでルールがわからなくて(笑)。「えっ、これもダメなの?」と学びながら立ち回りを考える日々です。

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──チームみらいは政治の世界で仲間を増やそうとしています。そこでどのようなリーダーシップを発揮しますか。

安野:仲間を増やすために大切なのは、自分たちが達成したい目標が、ほかの人たちもやりたいと思えるものかどうか。同じ目標を目指す会社が1万社あれば差別化する必要がありますが、その目標を掲げているのがチームみらいだけなら、おのずと一緒にやりたいと考えてもらえるでしょう。

もうひとつ、その目標をいかに周りに伝えられるかも重要です。ここはさまざまなかたちのコミュニケーションがあると思っていて、今回の選挙活動でも政策質疑応答システム「AIあんの」を使ったように、新しいチャレンジをしました。

組織のリーダーとして意識しているのは“仕組み”です。チームみらいは目指すものを言語化してドキュメントの束にまとめていて、組織のアクションはそれに整合しているかどうかで判定しています。すべて判定するとすごくコストがかかりますが、LLMで判定コストは下がるし、デジタルで組織全体の状況をモニタリングしやすくなる。これからより大きな組織を目指すなかで模索は続けますが、現段階でもいろんなことができそうだという肌感はあります。リーダーシップというと属人的な印象があるかもしれませんが、僕の究極の理想は自分が寝ていても仕組みで組織が回ることです。

松尾:そうしたビジョンをもつことがリーダーの役目です。ほかの人がやろうとしていることと別の旗を立て、さらに口先だけでなく自ら実現に動く。そんなリーダーがもっと増えればいいですよね。


あんの・たかひろ◎東京大学工学部卒。松尾研究室で機械学習を学ぶ。ボストン・コンサルティング・グループを経て、BEDORE、MNTSQなどAIスタートアップを立ち上げ。2024年東京都知事選に出馬。25年5月に「チームみらい」を結党し、同年7月の参議院選挙で初当選。

まつお・ゆたか◎専門は人工知能、深層学習、ウェブマイニング。スタンフォード大学客員研究員などを経て2019年より現職。日本ディープラーニング協会理事長、ソフトバンクグループ社外取締役。25年より内閣府人工知能戦略専門調査会座長を務め、日本のAI戦略と制度設計を牽引。

文=村上 敬 写真=ヤン・ブース

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