──最後に、アーティストとして一番の喜びはなんですか?
「定職についていないこと」でしょうか(笑)。アーティストになっていなければ、パソコン泥棒にでもなっていたかもしれません。アーティストでいるのは長距離走のようなもので、25歳で進路を決められるような職業ではありません。しかし、年を取るにつれてどんどんよくなっていくのが、アートのユニークで素晴らしいところだと思っています。

若い時期に必要なのは、部屋にこもって制作に向かうだけでなく、他のアーティストと付き合い、意見を交わしながら、独自のネットワーク(網)をつくっていくことです。すると、世の中で起きていることをうまく捕まえることができるようになり、それが運を掴むことにもつながっていきます。
私は作品のタイトルに「希望(HOPE)」という言葉をよく使いますが、それはカトリックの聖人アウグスティヌスの言葉、「希望には2人の娘がいる。1つは現状への『怒り』、もう1つはそれを変える『勇気』だ」からインスピレーションを得ています。
現状のひどさに怒ること、そして変えようと動く勇気を持つこと。その2つがあって初めて「希望」になる。私の作品群や活動の根底には、いつもこの思いがあります。


