アート

2026.06.02 18:45

ロバート・ロンゴの個展で見る、完璧な大谷翔平と歪んだアメリカ

Pace 東京で6月17日まで、ロバート・ロンゴによる個展「Angels of the Maelstrom」が開催されている

Robert Longo Untitled (JFK & Jackie, Zapruder Still), 2026(c)2026 Robert Longo/Artists Rights Society (ARS), New York.
Robert Longo Untitled (JFK & Jackie, Zapruder Still), 2026(c)2026 Robert Longo/Artists Rights Society (ARS), New York.

今のアメリカは、まるでスポーツチームのようだなと思います。スポーツチームの目的は、相手に勝つこと。なぜかアメリカ人は異常なほどに競争が好きなんですよね。それに、この国の歴史は、スポーツと重ねてみることができます。

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大きく区切ると、南北戦争直後に野球、第一次世界大戦後にアメリカンフットボール、第二次世界大戦後にバスケットボールが広がっている。戦争が終わり、平和が訪れると、その代替品として新しいスポーツに熱中する歴史が繰り返されてきました。古代ローマの剣闘士は人を戦闘状態に置き、闘争精神をかき立てるものでしたが、現在のスポーツにも同様の側面があります。

──「この状況を何とかする」ために、アーティストとしてできることは? 具体的にどのようなことに取り組んでいますか?

今、多くのアメリカ人が状況に救いがないと感じています。アートが現実を実際に変えられるかというと、そこまでの確信は持てません。しかし、少なくとも「後世の人たちのために、記録を残していくこと」はできる。それがアーティストの役目であり、私がやらなくてはいけないことです。

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アメリカで変化を起こすには2つの方法があり、ひとつは「選挙での投票」で、もう一つは「抗議運動への参加」です。抗議の動きは非常に大きくなっていて、私を含め多くのアーティストが関わっています。

実際のところ、どんな作品であれアーティストはみんな政治的です。トランプの悪政を批判するポスターにどれだけの意味があるかは分かりませんが、私は抗議運動のためにポスターを制作しています。星条旗の作品など大量に印刷して街に貼る活動をしています。

有名なところでは、私の友人であるストリートアーティストのオベイ(シェパード・フェアリー)は、オバマ大統領時代に「HOPE」と描いたポスターを大量に制作して配っていました。実は、チャリティオークションなどで作品を安く出すと、それを狙って購入し、高値で転売する人が後を絶たないんです。だったら「いっそ最初から市場価値ないものにしてしまおう」と無料で提供するのですが、それでも時間が経つとオークションに出てきたりする。彼とは、「今回は出品されるまでどれくらい時間がかかるかな」なんて、よく笑い合っています。

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文=鈴木奈央 写真=Pace 東京

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