今のアメリカは、まるでスポーツチームのようだなと思います。スポーツチームの目的は、相手に勝つこと。なぜかアメリカ人は異常なほどに競争が好きなんですよね。それに、この国の歴史は、スポーツと重ねてみることができます。
大きく区切ると、南北戦争直後に野球、第一次世界大戦後にアメリカンフットボール、第二次世界大戦後にバスケットボールが広がっている。戦争が終わり、平和が訪れると、その代替品として新しいスポーツに熱中する歴史が繰り返されてきました。古代ローマの剣闘士は人を戦闘状態に置き、闘争精神をかき立てるものでしたが、現在のスポーツにも同様の側面があります。
──「この状況を何とかする」ために、アーティストとしてできることは? 具体的にどのようなことに取り組んでいますか?
今、多くのアメリカ人が状況に救いがないと感じています。アートが現実を実際に変えられるかというと、そこまでの確信は持てません。しかし、少なくとも「後世の人たちのために、記録を残していくこと」はできる。それがアーティストの役目であり、私がやらなくてはいけないことです。
アメリカで変化を起こすには2つの方法があり、ひとつは「選挙での投票」で、もう一つは「抗議運動への参加」です。抗議の動きは非常に大きくなっていて、私を含め多くのアーティストが関わっています。
実際のところ、どんな作品であれアーティストはみんな政治的です。トランプの悪政を批判するポスターにどれだけの意味があるかは分かりませんが、私は抗議運動のためにポスターを制作しています。星条旗の作品など大量に印刷して街に貼る活動をしています。
有名なところでは、私の友人であるストリートアーティストのオベイ(シェパード・フェアリー)は、オバマ大統領時代に「HOPE」と描いたポスターを大量に制作して配っていました。実は、チャリティオークションなどで作品を安く出すと、それを狙って購入し、高値で転売する人が後を絶たないんです。だったら「いっそ最初から市場価値ないものにしてしまおう」と無料で提供するのですが、それでも時間が経つとオークションに出てきたりする。彼とは、「今回は出品されるまでどれくらい時間がかかるかな」なんて、よく笑い合っています。


