経済

2026.06.07 09:15

値上げラッシュに疲れとあきらめ。「値上げ慣れ」した生活者の買い物行動が二極化

stock.adobe.com

stock.adobe.com

今さら言うまでもなく、エネルギーや原材料費の高騰、急激な円安によるコストプッシュ型の、いわゆる「悪いインフレ」により、給与はさほど上がらず、物価がどんどん上がり続けている。そんな状況を強いられていても、日本人は怒らない。怒るどころか「値上げ慣れ」をしてしまったようだ。

くふうカンパニーが運営する、生活者と社会の生活満足度向上に資する研究・発信を行う「くふう生活者総合研究所」(くふう総研)は、同社が提供する家計簿アプリ「くふう.zaim」とチラシ情報のウェブサービス・アプリ「くふう.トクバイ」のユーザー8383人を対象に、買い物と値上げに関する意識調査を実施した。それによると、「値上げに慣れてしまった」人の割合は、約74パーセントにのぼった。

買い物に対する行動や感情の変化を問うと、「何もかも値上げしているから仕方ないと諦めるようになった」、「あらゆる物の価格がどんどん上がる状況に疲れた」、「10円20円程度など少々の値上げに驚かなくなった」、「欲しいものを我慢するのが当たり前になった」など、疲れとあきらめの様子がうかがえる。

一部には「価格は戻らないので買い控えをやめた」、「少しでも安く買うことにこだわらず労力をかけずに買い物するようになった」という、節約するのが馬鹿らしくなってしまったかに思える人たちもいた。

今の買い物の基準を尋ねると、もっとも多いのが、削るところは削って贅沢するところにはお金をかける「メリハリ重視」だ。次に多いのが「安さ重視」となった。その一方で、悩む時間がもったいないので必要なものを買うという「効率重視」、高くても納得感のある長く使えるものを選ぶという「品質・満足度重視」の人たちもいる。そこには、値上げ慣れするなかで、なんとか切り盛りしようとする人と、あきらめてしまった人の二極化が見られる。

値段を気にせず買える人はいいが、多くの人たちは節約しなければやっていけない状況にある。どのような節約行動を実践しているかを尋ねると、「特売・タイムセールを狙う」、「ポイント還元・キャッシュバックを活用する」、「安い店を使い分ける」、「プライベートブランドに切り替える」など、涙ぐましい努力をしていることがわかった。

長年のデフレで景気は低迷し続けたかと思えば、今度はインフレで、我々庶民は息つく暇もない。株価が史上最高値なんてニュースが空々しく聞こえる。良いか悪いかは別として、日本人はどんな苦しい状況にも順応してしまう。値上げ慣れもそのひとつだ。しかし、それにも限界がある。このままの状態が続いたとき、「慣れ」の次はどうなってしまうのかが心配だ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事