AI

2026.06.07 13:00

大手が避ける世界16兆円超のポルノ決済、稼ぐのは無名の中小フィンテック

stock.adobe.com

stock.adobe.com

アダルトコンテンツ向け決済企業は、年間推定1000億ドル(約16兆円。1ドル=160円換算)の取引を処理している。数十の中小企業にとって困難だが収益性の高いビジネスだが、彼らがそれを誇らしげに語ることは決してない。

advertisement

大手が敬遠するポルノ決済、中小が最大10%の手数料を得られる可能性

ポルノ決済を処理したがる企業はいない。少なくとも大手企業はそうだ。「潜在的なリスクエクスポージャー」が高すぎると、Stripeは加盟店向けFAQに記している。カードブランドなどからの「制限」により不可能だとSquareは説明する。

アダルトコンテンツ業界の決済処理は、複数の意味で「汚れ仕事」だ。チャージバック率は一般的に5%に達することもあり、衣料品や電子機器などの小売商品の処理と比べて7倍もリスクが高い。さらに潜在的な法的責任(コンテンツに未成年者が含まれていたら?)や規制上のハードルもある。審査プロセスは通常の加盟店の15倍も長くなることがある。

こうした困難な事業環境にもかかわらず、銃器・タバコ・アダルトコンテンツを扱う加盟店の取引を専門的に仲介する「ハイリスク」決済処理業者は、中小規模の企業を中心に多数存在する。魅力は、Stripeが仲介する一般的な購入の約2.9%に対し、1取引あたり最大10%もの手数料を得られる可能性にある。

advertisement

決済処理業者は、オンライン取引を完了するために加盟店、銀行、顧客のクレジットカード間の通信を調整する。アダルトコンテンツ業界のハイリスク決済処理業者はさらに踏み込み、、「記録上の加盟店(merchant of record)」として機能する。これは、PornhubやOnlyFansといった事業者名ではなく、決済処理業者の名前が顧客のクレジットカード明細に表示されることを意味する(結婚の危機を救う存在だ)。また、チャージバックや規制遵守を含む取引のあらゆる側面について責任を負う。Forbesの推計では、アダルトコンテンツを専門とするこれらの知られざる企業は、世界全体で年間少なくとも1000億ドル(約16兆円)を処理している。

Segpayの「あなたが先に支払いを受ける」、資金分離で顧客増やす

手数料収が推定6800万ドル(約108億8000万円)のSegpay(フロリダ州拠点)は、アダルトコンテンツサイト向け決済を専門とする大手企業の1つだ。業界のベテラン、キャシー・ビアズリーが2005年に創業した同社の社名は、「分離された決済(segregated payments)」を縮めたものだ。Segpayは、ウェブサイトの資金を処理業者の運転資金から分離して保管した初の企業だった。これは、処理業者が倒産するとすべてを失うという、当時のアダルト業界に共通した不安に応えるためだった。

ビアズリーによれば、Segpayのスローガンは「あなたが先に支払いを受ける」だった。自社を創業する前、ビアズリーは、悪質な処理業者が資金を混同し、加盟店口座の資金を使って請求書の支払いや投資を行う様子を目にしてきた。資金が引き渡されるまで一切手をつけないと加盟店顧客に保証することで、Segpayはアダルトコンテンツサイトの顧客を急速に増やすことができた。同社の技術は今や、主流の決済処理業者にも広く使われている。

独立系最大手CCBillとEpoch、性的人身売買で創設者が服役するアダルトサイトの決済で提訴

ポルノ決済において最大級の独立系決済処理業者は、CCBill(アリゾナ州フェニックス拠点)だ。推定で年間2億ドル(約320億円)の処理手数料を稼いでいる。なお、圧倒的な最大サイトであるPornhubは決済を社内で処理している。

2025年10月、CCBillとEpoch(カリフォルニア州拠点)は、GirlsDoPornの決済を処理していたとして3人のジェーン・ドウ(匿名の原告女性)から訴えられた。GirlsDoPornは、創設者のマイケル・プラットが現在、性的人身売買で27年の禁固刑に服しているアダルトサイトである。両決済処理業者はForbesのコメント要請に応じなかったが、不正行為の認識を否定する却下申立てを提出している。ただし、訴訟は係争中だ。

次ページ > 銀行が敬遠する処理業者、「レベニューシェア」で取引網を共有

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事