組織は人工知能(AI)に合わせて業務を再設計している一方で、依然としてAI登場以前の働き方を前提に管理職を昇進させている。リーダー育成の基準が今や足を引っ張っている可能性がある。
自信や存在感、決断力などAIが登場する前の職場で管理職の成功を支えた要素は、リーダーが確信的に振る舞い、素早く行動し、周囲の注目を集め、自ら実行を主導することが求められていた環境に最適化されたものだった。
しかし現在では、そうした特性こそがAI変革の成否を左右する人間の主体性を阻害しているかもしれない。謙虚さを伴わない自信はAIの出力を疑わない姿勢や、スムーズさと正確性を区別することを怠る原因となりかねない。熟慮を欠いた決断力は、誰かが誤りに気づく前に問題を抱えた判断をシステム全体に広げてしまう可能性がある。さらに、リーダーシップがワークフローやシステム、意思決定の設計の中で発揮されるようになるにつれ、目立つことや経営幹部らしい存在感は以前ほど重要ではなくなっている。
AIを活用する環境では、こうしたギャップは特定のチームや局面に限らない。組織の大規模な運営体制そのものに潜むものとなる。多くのAI変革の取り組みにおいて、AIへの投資を測定可能なビジネス成果へと結びつけることに苦戦しているのはこれが理由だ。
期待されるAIの成果を実現するには、リーダーシップのモデルがテクノロジーが求めるものに追いつく必要がある。
「間違ったリーダーシップ特性」が浮き彫りに
多くの組織は今なお、リーダーとしての潜在能力をおなじみの指標で判断している。会議での積極的な発言、自信のあるアイデアの提示、上級管理職からの注目、プレッシャー下での決断力などだ。こうした特性はリーダーシップがあるという印象を与える。これらは目につきやすく、評価したり昇進制度を通じて組織全体で採用したりするのが容易だ。
しかし人材評価のHogan Assessments(ホーガン・アセスメント)の新たな調査では、これらは必ずしも現代のリーダーに求められる特性ではないことが示唆されている。この研究では、25カ国の9794人の従業員からの回答をもとに、リーダーシップの影響を最も直接的に受けながら実際に業務を行う人の視点から、人々がリーダーに何を求めているかを検証した。その結果は驚くべきものだった。経営幹部が最も高く評価される能力と、従業員がリーダーに最も求める能力との間には全く重なりが見られなかったのだ。
経営幹部は周囲の鼓舞や競争、プレゼン、率先した行動、イノベーション推進の能力を最も高く評価されている。
従業員は伝わるコミュニケーションや妥当な意思決定、責任感、誠実さ、リーダーシップ能力を求めている。
この2つのリストは、組織が今必要としているリーダー像について考え方が根本的に異なることを示している。



