組織が本当に必要としているリーダーシップスキル
従業員がリーダーに求めるものが重要なのは、単に従業員がそれを好むからではない。それらの特性こそがAIを活用する環境において組織が変革を成功させるために必要な能力だからだ。
信頼は人がAIシステムを適切に受け入れ、必要なときには疑問を投げかけるかどうかに影響する。判断力は人がAIが推奨することを鵜呑みにするのではなく、前提を疑い、出力結果を検証し、代替案を探るかどうかに影響する。明確さは人間とアルゴリズムがますます協力して働く分散型システムにおいて実行に影響する。
つまり、従業員が求めている資質はAIを活用して効果的に変革を進めるために組織が必要としている資質そのものになりつつある。
AIの普及に伴い、管理職は自分が完全に理解しきれていない出力結果に基づいて判断し、人間とAIの協働を管理し、不確実性の高い状況で判断を下すことが求められている。管理職は自動化されたシステムよりも人間の監督を優先すべき場面を決め、ほとんどの従業員が内部構造を十分に理解できないツールへの信頼を構築しなければならない。
Hoganの調査データは、従業員がこの状況下で何を求められているかを理解していることをはっきり示している。25カ国、複数の業界にまたがり、従業員がリーダーに求めるものは驚くほど一貫していた。明確なコミュニケーション、健全な判断力、説明責任、誠実さだ。これらは理想論的な希望ではない。AIの出力に依存し、アルゴリズムによって導き出された決定に従い、説明責任が不透明なシステムの中で働くことを求められている環境では、これらの特性は機能上の必須条件だ。システムが機能するかどうかを左右する。
AIがもたらしている変化
AIがリーダーシップやマネジメントにもたらしている変化は漸進的なものではない。AIを導入した組織では、業務は「実行」から「調整」へと移行しつつある。意思決定は継続的かつ分散的になり、権限はますますアルゴリズムと共有されるようになっている。チームはもはや単に成果を共に生み出す人々の集まりではない。人間とシステムの組み合わせとなっており、その組み合わせを管理するには従来のリーダーシップ育成や昇進プロセスが重視してきたものとは異なる認知的・対人関係的な資質が求められる。
こうしたことから、組織が今必要としているリーダーシップスキルは多くの昇進制度が評価してきた特性とは異なる。
具体的には、AI環境では自信よりも判断力が重視される。管理職はAIが生成した出力や不完全な情報、十分に理解できていないシステムに基づいて意思決定を行うようになっている。重要なのは単なる決断力ではなく、出力を検証し、前提に疑問を投げかけ、誤った判断がシステム全体に広がる前に適切な判断を下す能力だ。


