Forbes JAPAN編集長編著『Forbes JAPANが選ぶ 未来をひらく言葉』から、Forbesが過去取材したビジネスリーダーたちの名言を紹介する。
正解のない時代に「未来をひらく」仕事をなし得た彼ら・彼女たちは、自らの行動からどんな言葉を紡ぎ、何を導き出したのか。「名言こを未来に伝えるべき共有物だ」をコンセプトに、リーダーたちの言葉をひもとき、われわれの「今日の行動」に転換すべく読み解くコラム。第1回の今回は、アンソロピック共同創業者兼社長 ダニエラ・アモデイの言葉を紹介する。
倫理と経済成長の両立はできるか
トランプ大統領や米国防長官から口汚く「利己的」「左翼」と批判されているのが、AI基盤モデル開発企業「アンソロピック」である。
Claudeや新モデル「Mythos」など同社がニュースにならない日はない。
一方、ダニエラとダリオの姉弟は、「議会はAIに対してガードレールを設置しないと危険だ」と警鐘を鳴らし続けている。問題点は大きく2つ。AIの「国内の大量監視」と「完全自律型兵器」だ。大量の個人情報が監視対象となり、企業の情報も含めて漏洩をさせることができる。また、軍事用に使用すると民間人や味方を攻撃する恐れがある。だから2人は、「時間の経過によって、信頼性は維持できる。信頼は忍耐から生まれる」と強調する。この点が、OpenAIのアルトマンと「安全性」に対する違いであり、同社から2人が離脱した理由だ。米中の激しいAI開発競争の中で、利益と倫理の両方を求めるのは、「自分が母親だからこそ」とダニエラは言う。
「子どもたちへの最高の贈り物は、AIの技術を1%でも良い方向に導くことです。
私たちが手綱を握り、少しでも良いかたちにして手渡したいのです」
ビジネスのROI(投資対効果)を冷徹に見つめながら、その中心に「人間性」という動かせない一線を引く。倫理と成長が両立し得る「高みへの競争」で未来を模索する。そのあり方を、彼女は世界に問い続けている。
Daniela Amodei◎アンソロピック共同創業者兼社長。1987年、米サンフランシスコ生まれ。Stripe社勤務、OpenAI社で副社長を経て、2021年、兄ダリオら7人でアンソロピックを共同創業し、社長に就任。対話型AI「Claude」等の開発を通じ、AIの社会実装と組織運営を指揮。25年、SVJP(シリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム)とForbes JAPANによるイノベーターアワード受賞。



