北米

2026.06.10 13:30

トランプ政権で激変する世界と中国が狙うグローバルサウス新秩序の正体

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トランプ大統領の再登板以降揺らぐ国際秩序の下で、中国は漸進的なかたちでプレゼンスを拡張している。2026年に入り、カナダや欧州諸国といったミドルパワー諸国、さらにはグローバル・サウス諸国の首脳が相次いで北京を訪問している。安全保障、経済安全保障、貿易摩擦を巡る対中不信は依然として払拭されていない。それでも各国が関係改善に動くのは、米国の政策が同盟国に対してもコストと不確実性をもたらすなかで、やむにやまれない選択肢ともなっているためだ。こうした外交の場で、中国政府が近年打ち出してきた発展、安全保障、文明、グローバル、ガバナンスを包括する「四大グローバル・イニシアティブ」が各国から支持・称賛されてきたと中国側は主張している。これらは単なる理念ではなく、中国が主導するかたちで国際秩序を再編しようとする包括的な枠組みとなってきている。いずれもグローバル・サウスとの連携を中核に据えている点が特徴だ。

中国はすでに米国と並び立つ大国であるにもかかわらず、自らを「世界最大の発展途上国」と位置づけ続ける。この自己規定は、単なる修辞ではない。グローバル・サウスとの政治的アイデンティティを共有し、欧米中心の秩序への対抗と、インフラ投資や産業協力を通じた経済的浸透を正当化する戦略的装置だ。人口と経済成長の重心がグローバル・サウスへと移るなかで、中国がこの領域に資源を集中させるのは合理的な選択だ。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、国際政治の焦点は国際紛争や経済安全保障へと移行した。しかし、グローバルな気候変動や開発問題はなくなったわけでも、緩和されたわけでもない。むしろ多くの途上国にとっては依然として中心課題であり、中国はこの領域で継続的な関与を維持している。

「四大グローバル・イニシアティブ」のうち第一のグローバル発展イニシアティブ(GDI)は、2021年の国連総会時に習近平国家主席自らが打ち出した。GDIは国連の持続可能な開発目標(SDGs)と接続するかたちで推進され、中国側はこの5年間で、100カ国以上の支持、80カ国超の「フレンズ・グループ」への参加、1800件以上の協力案件、20万人規模の人材育成といった実績を強調する。米国が「アメリカファースト」に反するグローバリストの産物とSDGsやその達成に取り組む国際機関を批判する傍らで、中国はこれを取り込み、国際公共財の供給者としての位置づけを強化している。

また、経済圏構想として始まった「一帯一路」も変化が進んでいる。融資中心のモデルは途上国を借金漬けにした「債務の罠」との批判もあるが、現在は投資重視へとシフトしている。内需が弱い国内よりも、グローバル・サウス等国外に商機を見いだす中国企業のニーズとマッチしたことも背景にある。中国の途上国ビジネスは、電気自動車や再生可能エネルギーといった新産業分野への関与を強め、供給網の中核を押さえる戦略へと移行している。中東情勢の不安定化など化石燃料へのアクセスのリスクが高まるなかで、エネルギーやインフラ供給能力をもつ中国の存在感は相対的に高まる。圧倒的な製造能力を背景に、「供給の安定」を提供できる点は、現在の国際環境において極めて大きな意味をもつ。

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