「ファミリータイプのネット回線で動いていた会社が、いきなりDXの最終段階を目指しても無理です。でも、きちんと段階を踏めば、地方の中小企業だって変われる」
そう語るのは、三重県伊勢市を拠点とするIXホールディングスのCIO兼IXデジタル代表取締役、神山大輔だ。同グループの主力企業である『マスヤ』は、中部以西で知らない人はいないほどの定番お菓子「おにぎりせんべい」の老舗菓子メーカー。NECなど大手IT企業で22年間の経験を積んだ神山が2019年に“Uターン転職”し、製造現場のデジタル化から地域全体を巻き込むDXエコシステムの構築まで、いま伊勢の地から静かな革命を起こしている。

IXホールディングスの前身、マスヤグループ本社の中核事業である「マスヤ」は1965年創業。赤福の当時の社長が、「長期保存が可能で全国に届けられるお菓子を」と作られたのが「おにぎりせんべい」だ。
2019年に同級生の誘いを受け、マスヤグループのCIOとしてUターンした神山は、NECやCAテクノロジーズ(後にブロードコムに買収)にて22年間、大手企業向けのITの提案や導入を支援してきた。その経験を買われての登用だった。「着任当時、グループ各社のシステムはバラバラでした。情報は分断され、情報システム部門もなく、パソコンに少し詳しい総務担当者が業者との窓口を担当していました」と神山は振り返る。
最初の一手として取り組んだのが、コミュニケーション基盤の統一だ。当時まだ日本での認知度は高くなかったSlackをグループ全体に導入。さらにZoomもコロナ禍以前から導入していたため、パンデミック期間中も業務を継続できた。また、老朽化していた電話交換機(PBX)を、クラウドPBXであるZoom Phoneに移行。「インターネット回線がファミリータイプという状況でしたので、高速回線へと切り替えました。これらで更新にかかる設備投資コストを大幅に削減しました」。



