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2026.06.01 08:00

ロシアの影響力低下で変化するユーラシアのエネルギー勢力図

Getty Images

現状の打開を目指すアゼルバイジャンとカザフスタン

こうした変化を最も明確に示しているのが、アゼルバイジャンとカザフスタンの2カ国だ。 

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アゼルバイジャンはこの変化から最大の恩恵を受ける国の1つであり、同国政府は新たなエネルギーハブとなるべく、積極的に業界の再編を進めている。上流部門の生産から「南ガス回廊」や「バクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)パイプライン」を通じた輸送までを手掛けるアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)は、欧州での精製にも事業を拡大しようとしている。同社は欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会からイタリアの民間石油企業イタリアナ・ペトロリの買収承認を得ており、これは拡大するEUとアゼルバイジャンのエネルギー協力における新たな一歩となった。

SOCARは中国とのエネルギー協力も拡大している。同社のロフシャン・ナジャフ社長は中国石油集団東方地球物理探査(BGP)の任文俊会長と会談し、両社の合弁事業が南ガス回廊を通じて欧州への戦略的供給源となる可能性について協議した。他方で、アゼルバイジャンは石油生産能力を完全に活用できておらず、ロシアの穴を埋めるには程遠い状況だ。2025年のアゼルバイジャンの石油生産量は、前年比で日量約43万2000バレル減少した。

一方、カザフスタンはカスピ海横断回廊を通じた石油タンカーによる輸送を拡大しており、アゼルバイジャンを経由してEUに原油を輸出している。このロシアを経由しない回廊は長年、同国とイランによる制約を受けてきた。同回廊の成長は主に、カザフスタンの石油輸出の約8割、輸出収入の約4割を占める同国の主要な油田(テンギズ、カシャガン、カラチャガナク)への投資拡大によるものだ。同国にはBTCパイプラインを経由して地中海へ原油を輸送する方法や、日量40万バレルの輸送能力を持つパイプラインを利用して中国西部へ出荷する選択肢もある。それにもかかわらず、現在カザフスタンが利用可能なカスピ海横断回廊を航行するタンカーは極めて少なく、カスピ海に面する同国のクリク港の処理能力は日量20万バレルにとどまっている。代替案としてロシア経由でアゼルバイジャンへ原油を輸送する手段もあるが、ロシアが無条件でこれに同意する可能性は低い。

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影響力を握り続けるロシア

エネルギー輸出に対する数々の制裁や、4月30日に大規模な火災を引き起こしたロシア南部黒海沿岸のトゥアプセ港への攻撃など、ウクライナによるエネルギー施設への無人機(ドローン)攻撃にもかかわらず、ロシアは依然として主要な石油・ガス生産国だ。同国は2025年、2億3800万トンの石油を輸出し、その約8割が中国とインド向けだった。米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始から2週間で、原油価格が高騰したことにより、ロシアは化石燃料の輸出から60億ユーロ(約1兆円)の収入を得た。3月の同国のエネルギー輸出による収入は、前月比6億7200万ユーロ(約1250億円)増加した。その増加分のうち、6億2500万ユーロ(約1160億円)は原油輸出によるものだった。ドナルド・トランプ米大統領は4月、ホルムズ海峡を巡る情勢の先行きが見えない間、ロシアが一時的に国際エネルギー市場を安定させることができるとして、対ロシア制裁を緩和した。

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翻訳・編集=安藤清香

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