映画

2026.06.05 10:15

「デイ・アフター・トゥモロー」は警告する 23年目の気候激変の兆し

Atlantis - stock.adobe.com

人間関係やその内面を複雑に描かないのは、パニックの原因となる大寒波、大津波のスペクタクルや、暴風雪に埋もれた都市の描写を際立たせるためだろう。数週間から数カ月で北半球のほとんどが凍りつくのは、AMOC崩壊後の状況をかなり盛って描いているとは思われるが、逆に、人間の感覚では追いつけないような自然の脅威が見せる”速度”も、パニック映画では重要な要素だ。

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ちなみに、サムたちが自然史博物館で対面する一万年前に凍死したマンモスの像も、寒冷化の速さを表すために映画撮影用に作られたレプリカである。

本作の主役である凄まじい天変地異は、当時の技術を駆使しかなり高精度に描かれている。南極調査団の足元から突然氷のひび割れが始まり隙間に落ちかけるという、今後の展開を予告するような最初のシーンから、東京に降るこぶし大の雹、ニューヨーク動物園の動物たちの挙動不審、カリフォルニアを襲う巨大ハリケーンと破壊される街、スコットランド上空で異常寒波のため燃料が凍りついて墜落するヘリなど、世界に起こる異変の数々がストーリーの合間に挟み込まれていく。

もっとも緊張が高まるのは、アメリカ東海岸の急速な海面上昇によりニューヨークの街や人々が洪水に呑み込まれ、大型船舶が目抜通りの真ん中に乗り上げてくる場面だ。迫り来る津波に3.11を思い起こす人は多いだろう。

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畳み掛けるような災害シーンの積み重ねによって、人間の生活が瞬く間に容赦なく潰されていく恐怖が伝わってくる。生活というよりもそれは、生存できるか否かのデッドラインと常に向き合わざるを得ない恐怖だ。これは図書館内のシーンにおいて、より具体的に描かれている。

暴風雪を逃れて図書館に逃げ込んだ大勢の人々は、吹雪が止んだのを潮に南の方に避難するため出て行き、ジャックからの忠告を守ったサムとそれに従った高校生たち、司書三人、ホームレス一人と彼の犬だけがあとに残る。恐ろしいほどの低温の中で燃料も尽きかけ、暖を取るために次々燃やされるのが、大量にある書籍だ。

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文=大野左紀子

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