サイエンス

2026.06.14 17:00

嫌悪感は人にとって「最強の防衛システム」、進化生物学が解説

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この次に冷蔵庫を開けた時、あまりにも長く放置されていた食べ物を見つけて後ずさりしてしまったなら、そうしたドラマチックな反応は、正当な進化上の理由によるものだ、と考えるようにしよう。思わず鼻にしわを寄せ、胃にむかつきを覚えるその感覚は、我々の最も洗練されていながら、注目されることの少ない感情システムの一つ、「嫌悪」の表れだ。

最も根本的なレベルの嫌悪とは、病原体を回避するためのメカニズムだ。その感情は、「命を危うくするものを口に入れてはならない」という、単純だが強力な原則に根差している。腐った食べ物は、見た目も匂いも味も、異常に感じられる。それは偶然ではなく、そう感じる仕組みになっているのだ。

今日の学術界において「行動免疫システム(Behavioral immune system)」と呼ばれるこの仕組みは、体を守る防衛の最前線と言える。生物学的な免疫システムが関与する以前の段階で、感染の脅威を検知し、我々を遠ざけるための一連の心理的および生理学的反応だ。

しかし、このような嫌悪の対象は、食べ物だけにとどまらなかった。進化の過程で、その範囲は徐々に広がっていったのだ。

嫌悪と脳

嫌悪が生じる際に、他のどの脳領域よりも科学的に注目される場所がある。それは前部島皮質だ。

2022年に学術誌『Neuroscience & Biobehavioral Reviews』に発表された神経画像のメタ分析研究において、中核的嫌悪(物理的な脅威への反応)と、社会的嫌悪(顔の表情など嫌悪のシグナルを認識すること)の両方が、共通の神経基盤として、前部島皮質および紡錘状回を一貫して活性化することが確認された。

とりわけ島皮質は、「退避反応」「顔の表情」「内臓感覚」といった各要素を統合・調整し、まとまって完全な嫌悪反応を構成する役割を担っている。

この領域を特に注目すべきものにしているのは、脳病変の研究から得られたエビデンスだ。前部島皮質と、それに近い部位である「被殻」を損傷した患者には、選択的な機能障害が見られた。ある患者は、中核的嫌悪の反応は正常を維持していた一方で、他者の顔から嫌悪を読み取ることができなくなっていた。これに対し、前部島皮質を損傷した別の患者は、嫌悪の表出と経験の両方に調節障害を示した。

注目すべきは、他者における嫌悪の表情を観察することによっても、自らが嫌悪の感情を経験する場合と同じように、島皮質が活性化されるという点だ。これは、2003年に学術誌『Neuron』に発表された研究で最初に報告された。同研究では、誰かが物をつかもうとするのを見ることで、自身の運動表象が活性化されるのと同様に、他者が嫌悪を感じて後ずさりするのを見ることで、自身の嫌悪システムが活性化されることが明らかになった。

誰かが不快なものを口にするのを見ただけで、自分も顔をしかめてしまう背景には、このような神経的基盤がある。そして進化の観点から見れば、これは極めて有用な反応だ。嫌悪が社会的に伝達され、ある個人が学習した嫌悪が、集団全体に向けた警告へと変化することを可能にするからだ。

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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