真の武器はデータ
OCHIは、外部の観察者のほとんどが耳にしたことのないウクライナのシステムだ。オレクサンドル・ドミトリエフが設立したこのシステムは、国内1万5000以上の最前線ドローン部隊からの映像フィードを一元化している。当初は司令官に戦場状況を単一画面で把握させるために構築されたが、ほとんど偶然のように、より大きな存在へと発展した。チームは、この映像が戦争を超えて残り得る記録になることに気づき、保存を始めたのだ。
2022年以来、OCHIには200万時間超の戦場映像が蓄積された。経過時間で換算すると約228年分に相当し、毎日さらに5〜6テラバイトが追加されている。ドミトリエフはこのアーカイブを「AIの餌」と表現した。このフレーズはマーケティング用語ではない。OCHIに保存されたあらゆる攻撃、失敗、迎撃、妨害信号が、次世代モデルの学習データとなる。より優れた標的識別、より高度な自律追跡、デコイや電子戦のより的確な認識。
200万時間は、実戦の戦闘映像として公に知られる限り世界最大のデータセットである。西側諸国に同等のものはない。この戦争の教訓は、ドクトリンに書き込まれているのではない。モデルの重みとして焼き込まれているのだ。
ソフトウェア対鋼鉄
ウクライナは長期戦において、戦車対戦車、砲弾対砲弾、兵士対兵士という形でロシアに対抗することはできない。ロシアは人口が多く、経済規模も大きく、損失を吸収する能力も高い。こうした条件下で対称的に戦うことは、ロシアの土俵で戦うことを意味する。シュミットの計算──6000ドル(約95万4000円)のドローン対500万ドル(約7億9500万円)の戦車──は、その代替策を最も端的に表現している。安価でネットワーク化されたソフトウェア誘導システムは、コストに見合わないほどの損害を与える。この非対称性こそが戦略なのだ。
このダイナミクスはまさに他国の軍隊が研究する類のものだ。予算は軍事的必要性に従う。小型の自律システムが対等な戦争で高価なレガシー資産の能力を低下させ得るなら、NATO、インド太平洋の同盟国、そして修正主義的な隣国を警戒するあらゆる国の調達ロジックもそれに伴って変化する。将来の兵器庫には依然としてミサイル、艦艇、航空機が含まれるだろう。最も急速に成長する予算項目は、応用AIとなる。
国家資本による設備投資はすでに追随している
シュミットのより広範な主張は、現代の軍事力は、圧力下で計算資源(コンピュート)、データ、通信を誰が支配するかに依存するというものだ。国家レベルの資金は、すでにその条件で流れ込んでいる。
カナダはソブリン(主権)AIコンピュート戦略に20億カナダドル(約2300億円。1カナダドル=115円換算)を投じている。2024年度予算で最初に発表され、現在3つの柱で展開されている。約7億カナダドル(約805億円)は民間データセンター投資の動員、10億カナダドル(約1150億円)は政府の研究開発および国家安全保障目的で政府共通サービス機構(Shared Services Canada)とカナダ国立研究機構(National Research Council)が主導するセキュア施設を含む公共スーパーコンピューティング、そして3億カナダドル(約345億円)はAIコンピュート・アクセス基金に充てられる。ソブリンコンピュート・インフラ計画(Sovereign Compute Infrastructure Program)の申請期限は2026年6月1日だ。
カナダだけではない。アラブ首長国連邦とサウジアラビアは、国内AIコンピュートに国家資本を注ぎ込んでいる。オーストラリアと日本は国家AIインフラのプログラムを構築している。いずれも明示的または暗黙的な国家安全保障要素を含む。単なる産業政策ではない。将来の軍事システムが必要とするインフラ基盤を構築する初期段階なのだ。


