同時に、かつて最先端だったテスラのラインアップは時代遅れになりつつある。モデル3とモデルYの販売は依然として好調だが、競合他社はより斬新なデザインや豪華な室内空間、そして高速の充電システムを提供している。実際、充電技術の現在のリーダー格はBYDの新しい「フラッシュチャージング」システムのようだ。2026年に導入された最新バージョンでは、対応車両は最大1500kW(1.5メガワット)で充電できる。またBYDは最新のブレード・バッテリー2.0を搭載した車両であれば残量10%のバッテリーを約5分で70%に充電できると主張している。一方、テスラのEVの大半はモデルや条件にもよるが残量10%のバッテリーを80%にするのに20〜30分要する。
特に中国メーカーはかつてテスラがほぼ独占してきた技術的優位性との差を劇的に縮めてきた。これはテスラにどのような影響をもたらすのだろうか。
テスラに対する見方が変化
前述の通り、テスラの販売は欧州市場全体で伸び悩んでいるかもしれないが、モデルYは2026年第1四半期に5万1000台超売れ、依然として首位だ。JATO Dynamics(ジェイトー・ダイナミクス)とCleanTechnica(クリーン・テクニカ)の調査データによると、2位はシュコダのElroq(2万8300台)、3位はテスラのモデル3(2万6400台)だった。そしてルノーの5 E-TechとBYDのSeal Uが続く。中国のリープモーターも今年は好調な販売実績で存在感を高めている。
マスクを巡る政治的論争もテスラのブランドイメージを一部地域で複雑にしている。その主な原因は、米政府効率化省(DOGE)を巡る騒動や、「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と発言して極右政党AfDを支持し、ドイツの選挙に介入したことだ。政治やSNS上の論争について歯に衣着せず発言するマスクの姿勢は、欧州や米国の一部においては特に従来進歩的だったテスラの顧客層の一部を遠ざける結果となっている。
それにもかかわらず、投資家たちは依然としてテスラを苦戦している自動車メーカーではなく、将来有望なAI企業として評価している。それはテスラが現代自動車業界で最も大胆な企業変革を進めているからだ。
同社はもはや、単なる自動車メーカーとして見られることを望んでいない。その代わり、テスラは自社を人工知能(AI)、ロボティクス、自動運転モビリティの企業として位置づけるようになっている。
多くの意味でテスラの未来は自動車販売台数ではなく、ソフトウェアに関する野心を実現できるかどうかにかかっている。
マスクは完全自動運転技術やロボタクシー、AIチップ、そしてOptimus(オプティマス)のようなヒューマノイドロボットの開発について繰り返し強調してきた。テスラはすでに米国内のいくつかの都市でロボタクシーシステムの試験運用を行っている。一方、中国や欧州の規制当局はテスラの自動運転ソフトウェアに対する認可範囲の拡大について引き続き評価を進めている。


