AIとスウォーム戦術で攻撃範囲が拡大
AI搭載システムを開発するウクライナ系企業Twist Robotics(ツイスト・ロボティクス)のビクトル・サハルチュク最高経営責任者(CEO)は筆者のインタビューで、AIドローンシステムは前線での大量の訓練データと戦場環境への継続的な適応を必要とすると説明した。
東部のハルキウ方面のような森林地帯の前線では、AI支援型ターゲティング(目標を選定し、優先順位をつけ、適切な対応手段を割り当てる一連のプロセス)は難渋する場合がある。樹木や影、雑多な地形がアルゴリズムを混乱させることがあるためだ。クリミアへ通じる陸の回廊はこうした環境ではない。占領地域を貫く開けた幹線道路を走るトラックや燃料タンクローリー、軍用車両は、人間の操縦士の目にもAI支援型ターゲティングにもさらされやすい。
ウクライナの防衛テックに特化した米ベンチャーキャピタル(VC)、グリーン・フラッグ・ベンチャーズの創業者でマネジングディレクターのデボラ・フェアラムは、自律性の焦点はドローン自体による判断や意思決定に移っていると筆者に述べた。たとえば、スウォームのドローンが1機破壊されても、残りのドローンが自動的に行動を調整するといったものだ。
「ウクライナは(ロシアがクリミアを占領し、東部ドンバス地方に侵攻して戦争を始めた)2014年以来、とくに(ロシアがその戦争を拡大した)2022年以来、大規模な映像データベースを構築してきました。そのデータを活用して、物体や戦場シナリオを認識するアルゴリズムを訓練しています」(フェアラム)
筆者は2025年、ウクライナ国家親衛隊第13作戦任務旅団「ハルティヤ」に同行取材し、ホーネットが戦闘を行う様子を見た。攻撃中、操縦士たちが見つめるスクリーンには、AIに支援されたマーカーや自動目標指示が表示され、電子戦で通信が妨害されている状況でも、操縦士が目標を識別し、より迅速に判断できるようにしていた。
ウクライナのオープンソース監視グループであるオコ・ホラ(ホルスの眼)は5月26日、過去3週間にM14、H20両幹線道路上で、黒焦げになったトラックや燃料タンクローリーを計60台超確認したと報告した。この数字には軽度から中程度の損傷車両は含まれていない。オコ・ホラは、この数は両ルートを通るロシア軍向け輸送車両全体のごく一部にすぎないとも注意を促している。
60+ burned trucks and fuel tankers on the M14 and H20 highways over the past 3 weeks.
— Oko Gora (@oko_gora_tg) May 26, 2026
Not including lightly or moderately damaged vehicles.
Though it’s worth noting that this is only a small fraction (~5%) of the military transport moving along those routes. https://t.co/GtdDSOtcjZ
とはいえ、ウクライナにとって目的は、ロシア軍関連の輸送車両をことごとく破壊することにあるのではない。そうする必要はない。燃料や弾薬、予備部品の流れを断つだけで十分かもしれない。K-2旅団のプチャタは「兵站輸送や人員交替を行っている車両も積極的に攻撃されています」と述べている。弾薬輸送トラックや燃料タンクローリー数台を炎上させて破壊することは、火砲1門を撃破するよりも重要な意味を持ちうる。


