ISWのイノベーション・オープンソース分析手法担当ディレクター、ジョージ・バロスは「技術やドローンのイノベーションの面で、ウクライナ軍は若干優位に立っているように見える」と筆者にコメントした。
元カナダ軍将校でオープンソース兵器アナリストのロイ・ガーディナーは、ウクライナは今年、中距離打撃に使用可能なドローンの数を急激に増やし、前線の後方をこれまでよりかなり深く攻撃できるようになっていると筆者に語った。ウクライナによるAI搭載型ドローン「Hornet(ホーネット)」の使用拡大は、ロシア軍がこれまで比較的安全と考えていた後方地域で深刻な問題を引き起こしつつあると指摘した。
ウクライナ軍第20独立無人システム旅団「K-2」のドローン操縦士、ドミトロ・プチャタも筆者の取材に、ウクライナは作戦縦深打撃用のドローンを用いて「ロシア軍の兵站を積極的に弱体化させています」と述べた。彼によれば、ウクライナは50~100kg級の弾頭を搭載した比較的大型のドローンに加え、より安価で100~150km飛行可能なドローンの使用も増やしており、それによってロシア側の兵站ルートやその他の軍事目標を攻撃している。
ガーディナーは、ロシア軍の兵站車両に対するホーネットの攻撃はStarlink(スターリンク)衛星通信網への接続とAIの自律性に支えられており、ロシア側がジャミング(電波妨害)で阻止するのはより難しくなっていると説明する。彼はさらに、ホーネットによる同時多発的な攻撃が増えていると述べ、これは複数のドローンの連携性を高めたスウォーム(群れ)的な戦術がとられ始めていることを示唆するとの見方を示した。
ただ、ドローンを前線の後方により深く送り込んで運用する場合、通信面で新たな脆弱性も生まれることになる。スターリンクもまったく弱点がないというわけではない。元米陸軍州兵で、ウクライナで義勇兵部隊「チョーズン・カンパニー」を率いたライアン・オレアリーは、ウクライナのドローン部隊には、無線メッシュネットワークのようなバックアップの通信手段が必要だと筆者に話した。無線メッシュネットワークはMANET(モバイル・アドホック・ネットワーク)システムとしても知られる。
従来の「1対1」型のドローン通信リンクと異なり、メッシュネットワークではドローンや地上局、無人車両が中継ノードとして機能する。ひとつの通信リンクが妨害されたり失われたりしても、信号は別のノード経由へ迂回できるため、このネットワークはロシア軍の電子戦で遮断されにくい。ウクライナがドローンを前線の後方により深く送り込むにつれて、こうした自律性の重要性が増す。


