AI

2026.05.31 11:00

AI投資が収益に結びついた企業は6%、決め手は「人・プロセス・データ・測定可能な成果」

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ウォルマートに見る、企業AIのビジネス成果テスト

3つ目の柱は、本物の戦略と見せかけの取り組みを分ける。企業AIのどの施策についても、見極めるための問いは明快だ。この導入は、CFO(最高財務責任者)が損益計算書で確認できる測定可能なビジネス成果を生んでいるのか。それとも、取締役会資料の中だけに存在する経営層向けの話題を生んでいるだけなのか。

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ウォルマートの最新決算は、この問いに答えている。同社は通期で7130億ドル(約113兆5500億円)の売上高を報告し、前年比4.7%増となった。特に在庫管理の自動化が、関税による逆風にもかかわらず売上拡大を後押しした。

新CEOのジョン・ファーナーの語り口が、その本質を露わにしている。彼は技術を前面に押し出さなかった。顧客を前面に押し出したのである。「私たちのテクノロジーとAIの使い方は、優れた顧客向けソリューションを生み出し、摩擦を減らし、意思決定を単純化し、在庫の所在を正確に突き止めることに役立っています。しかもそれらはすべて、顧客や会員から勝ち得てきた信頼を保ちながら実現しているのです」。

顧客の不便は減る。在庫精度は高まる。信頼は保たれる。それが成果である。AIはそこへ至るための手段であり、それ自体を語るためのものではない。

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企業AIのチャンスの窓は閉じつつある

これを正しく実行している企業と、いまだにユーザー数単位でAIツールを買っているだけの企業との格差は、四半期ごとに広がっている。BCGのデータは厳しい。

AIにおいて「未来対応型」と呼べる企業は5%にすぎない。組織の60%は「後れを取る企業」であり、売上やコスト面の改善は最小限にとどまり、AIを拡大するために必要な能力もまだ整っていないと報告している。

その60%は縮小していない。むしろ、さらに後れを広げている。

ベルリンを拠点とするMoola Money(ムーラ・マネー)の創業者でCEOかつOkta Investment GmbH(オクタ・インベストメントGmbH)のマネージングディレクターでもあるリンダ・ドゥは、Thrive Global(スライブ・グローバル)での対談で、リーダーシップの教訓を的確に要約している。「リーダーシップは、自己規律と、ビジョンを掲げ、それを一歩ずつ実行する能力から始まります。許可を待ってはいけません。アイデアやビジョンがあるなら、今すぐ始めるべきです」。AIベンチャーをゼロから築く欧州のリーダーたちは、その時間軸で動いている。それ以外の人々もそうあるべきだ。

データの問いには、多くの企業戦略が見落としている一つの側面がある。それは、そのデータが「どの文化・言語圏の人間」を前提としているのか、という問いである。Startup Street VenturesのCEOで、低リソース言語(話者数やデジタル上のデータが少ない言語)を研究するAI研究者でもあるアービンダー・シン・カンは、これまでの企業のAI戦略は、たいてい単一の言語的・文化的文脈に最適化されたうえで、多様な文脈で働く労働者たちに展開されてきたと論じる。各言語に宿る文化的な枠組み、顧客に対する感覚、リスクへの勘どころが、モデルの訓練にも業務フローの設計にも反映されることはなかった。だが、文化的・言語的な対応力を、後付けの翻訳作業としてではなく、データ整備上の一つの規律として確立する企業は、後れを取る側が気づかないうちに優位を積み重ねていくだろう。

AIをなお調達の問題として扱っている企業は、数カ月前に本当の仕事を理解した企業に対して劣勢になっている。モデルは堀、つまり競争優位性ではない。堀になるのはデータ基盤である。訓練された人材である。そして、すべての導入をビジネス成果に結び付ける規律である。

技術の準備は整っている。しばらく前から既にそうだった。今四半期、すべてのリーダーが答えなければならない問いは、企業AIの次の波を受け止める準備が、自社の文化にできているかどうかだ。

AI First(AI優先)は正しい。しかし、「Human Always」(常に人間を中心に)が重要であることを忘れてはならない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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