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食&酒

2026.05.30 09:29

2026年、ビールのために旅したい世界の醸造所ガイド

Adobe Stock

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かつては旅の合間に時間があれば醸造所を訪れる、という程度だった。だが今や、旅の主目的が「醸造所訪問」という旅行者もいる。

2026年、最高のビール体験を提供する場所は、ただ美味しい一杯があるだけではない。土地の魅力と、その場所が背負う物語があり、なかには定番の観光ルートから大きく外れたところもある。バンコクでは、醸造家たちが厳格な酒類規制に抗いながら活動している。ラトビアでは、野生のハーブや採取したベリー、ソ連時代を生き延びた古いレシピが使われている。ニュージーランドのホップの産地では、床に泥が残る場所で、ホップ畑を見渡しながらビールを飲める。

本ガイドは3つのセクションで構成されている。VinePairの専門家が選ぶ、2026年に人気が高まりそうな注目の目的地。すでに訪れる価値がある新しい醸造所。そして、いまなおわざわざ足を運ぶに値するクラシックな名所である。

旅の中心に据えたい目的地

バハ・カリフォルニア(メキシコ)

サンディエゴの人気クラフトビールシーンは国境を越えてティファナへ広がり、バハ・カリフォルニア、そしてメキシコ全体で醸造所が急増している。Baja California Beer Routeは、州内の主要な醸造都市であるティファナ、エンセナダ、メヒカリを結ぶ。各都市はそれぞれに個性があり、3つが揃うことで、メキシコ北部が本格的なビール地域であることを強く印象づける。

最も熱量が高いのはティファナだ。Cervecería Insurgenteは草創期からの存在で、いまもシーンのペースメーカーである。大胆で実験的なリリースを重ね、国内で支持を集めてきた。Border Psychoはマキシマリストな方向性を担う。インペリアルスタウト、ダブルIPA、高ABVの実験作、そしてそれに負けないバー飯を揃える。カボ・サン・ルーカスでは、Baja BrewingがCorazón Cabo Hotelの屋上にあり、有名な岩のアーチを真正面に望みながら飲める。エンセナダでは空気が変わり、ペースは緩み、太平洋の眺めが主役になる。ルート沿いには30以上のタップルームが並び、合計で100を超えるスタイルが揃う。

理想の1日:ビールルートを道しるべにし、その周りに食事の予定を組み立てる。

バンコク(タイ)

バンコクのビールシーンは、行儀よく成熟したわけではない。長年にわたり、タイの小規模醸造家は工業規模の生産を前提に作られたルールをかいくぐってきた。そのルールには、年間生産能力10万リットル要件が含まれ、事実上、独立系の事業者を締め出していた。この障壁が2022年に取り払われ、地下の熱量がようやく成長できる余地を得た。

その壁に風穴を開けた最大の立役者は、元陸軍大佐のウィチット・「チット」・サイクラオ氏である。彼は川の中洲にあチット」・サイクラオ氏である。彼は川の中洲にあるクレット島に小さなマイクロブルワリーを設け、ホームブルーイング講座を始めた。「人々は選択肢を求めているが、業界によってはそれがほとんどない」と彼は私に語った。「6000万人以上の人口に対して、主要なビールブランドが2つか3つしかないなんて、どうしてあり得るのでしょうか?」。2018年、チット氏はタイで合法的なクラフトブルワリー開業ライセンスを得た最初の人物となった。一方、クレット島のChit Beerは、川辺の無法者的スピリットを味わいたい人のためにそのまま残している。

いまの街には、他人のものを輸入するのではなく、自分たちのやり方を見つけたことから生まれる自信がある。Vana BrewingSAMATAUnderdog MicrobreweryEight Days a Week HomebarCall Me PapaUnited Peoples Breweryはいずれも、もはやポートランドやロンドンの模倣には見えないシーンの存在を示している。

理想の1日:まずはクレット島へ行き、すべての出発点を理解する。次にUnderdogへ向かい、どこへ向かおうとしているのかを見る。

ブルメナウ(ブラジル)

ブルメナウは1850年、ヘルマン・ブルーノ・オットー・ブルメナウによって築かれた。ドイツ系の入植者はホップと麦芽を持ち込み、街はほどなくブラジルのクラフトビール首都へ向かって歩み始めた。現在、ヴァーレ・ド・イタジャイ地域は「ビール・バレー」として知られ、多くの独立系醸造所の拠点となっている。

Omas Haus Brewpubは、その個性で抜きん出る。オーナーのグスタボ・キールワーゲン氏の祖母の旧宅にあり、地元の麦芽、ブラジル産ホップ、在来酵母を使用する。キッチンの料理があまりにおいしく、食べ続けるためにもう1杯注文してしまうほどだ。グアバのサワーとホップを利かせたラガーを試し、スマッシュ&スモークバーガーも見逃してはいけない。予定より長居することになるかもしれない。

Eisenbahnは街のドイツ式醸造の伝統を際立たせる。一方、Cervejaria Blumenauは、パッションフルーツのサワー、ピーチエール、ダブルIPA、ブロンドエールで新しい味を持ち込み、ブラジルらしいルーツを誇らしく抱きしめている。

理想の1日:Omas Hausから始め、必ずバーガーを試すこと。アメリカ大陸最大のブルメナウのオクトーバーフェストは、街を世界に知らしめるイベントである。

ハドソン・バレー(米ニューヨーク州)

ニューヨーク市から北へ1時間。ハドソン・バレーは、農場、川沿いの町、山並みの背景、そして増え続ける本格的な醸造所の集積によって、国内でも最も魅力的なビール地域の1つへと変貌した。

「ビール版ナパ・バレー」という比喩はよく使われるが、それには理由がある。128エーカーの元酪農場にあるWest Kill Brewingは、グラスの中身と同じくらい眺めが重要な場所だ。最も有名な醸造所の1つであるArrowood Farmsは48エーカーを、ビール、食、音楽、宿泊まで含む午後の体験へと変える。ティヴォリのLasting Joy Breweryは、より静かなファームブルワリーの空気を加えるが、あらゆる本格派リストに必ず載るのは、ハドソン川沿いの1930年代のランプ工場を改装した建物に入るSuarez Family Breweryである。

新顔には、キングストンのBlue Duck BrewingUnion Street Brewing、さらにビーコンのPillow and Oatsなどがある。

理想の1日:眺めならWest Kill。1日を完全にゆっくりさせたいならArrowood。

ロンドン(イングランド)

ロンドンは昔から良いビールで知られてきた。いま違うのは、醸造所が近隣エリアへ入り込み、タップルームや徒歩ルートが整い、1日中タクシーに乗る必要がなく、午後をかけて探索できるようになった点である。

東ロンドンが先導する。英国初のクィアおよびトランス所有の醸造所であるQueer Brewingは、人気ブランドの常設拠点を得た。Pillars BreweryのMalt Hausは、ラガー中心のバー、キッチン、イベントスペースを備える。Blackhorse Beer Mile沿いでは、40FT Breweryの近くにSignatureExale Brewing and Tap RoomPretty Decent Beer Coが並ぶ。

理想の1日:Blackhorse Beer Mileで午後を過ごし、最後はGuinness Open Gateで締める。

ネルソン(ニュージーランド)

ネルソンは、原料の足跡を実際に見て歩けるという意味で、ビール好きにとって最高のスポットである。醸造家たちは、柑橘、トロピカルフルーツ、白ワイン、グーズベリーの香味をもたらすニュージーランド産ホップを高く評価しており、ネルソン=タスマン地域は国内最大のホップ産地だ。最初にホップを植えたのはドイツ系入植者で、その伝統はいまも力強く息づいている。

McCashin'sEddyline BrewerySprig & FernThe Free House Pubがドリンクを提供し、ホップ農場が重要な原料を供給する。ネルソンでは、景観は単なる背景ではなく、ビールそのものの一部である。

何が育ち、それがグラスの中身になるのか。その結びつきをこれほど明確に見られる場所は多くない。ニュージーランドのビールを飲んで、その出自が気になったことがあるなら、行くべきはネルソンである。

理想の1日:何より先にホップ農場訪問を予約する。

ピエンツァ(トスカーナ、イタリア)

トスカーナは、観光客を惹きつけるためにビールを必要としない。ピエンツァには、丘の上の眺望、ルネサンスの街並み、ペコリーノチーズ、糸杉並木の道、そして写真を撮らずにいられないブドウ畑が揃う。だからこそ、ここで出会うビールは隠れた発見のように感じられる。

Brasseria Della Fonteは、2015年にサムエーレ・チェザローニ氏が祖母の農場で創業した、知っておくべき名前だ。チェザローニ氏は自らホップを育て、長らく農業のアイデンティティがサンジョヴェーゼを意味してきた土地で、ホップを前面に出したエール、ドイツ式ラガー、英国式ビター、樽熟成のインペリアルビールを造っている。

Birra Amiataは高温発酵のビールを加える。なかには蜂蜜をベースにしたものもある。2つの生産者は、トスカーナのテロワールがワイン以上の余地を持つことを、小さいながらも説得力ある形で示している。

理想の1日:Brasseria Della Fonteを目当てに行き、ピエンツァ中心部からの眺めのために滞在する。

リガ(ラトビア)

リガはかつて大きな醸造都市だったが、戦争、ソ連の支配、そして工業生産の年月によって、独自性の多くが失われた。だがいま、街のビールシーンは再び刺激的に感のビールシーンは再び刺激的に感じられる。新しいビールを造るだけでなく、古い伝統を掘り起こすことでじられる。新しいビールを造るだけでなく、古い伝統を掘り起こすことでもあるからだ。


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forbes.com 原文

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