宇宙

2026.05.30 12:30

ISSで空気漏洩が再発、老朽化しても「まだ落とせない」米露の事情

(c)NASA

しかし、2025年6月になると、「新たな減圧のサイン」が検出されたとNASAが公表。つまり、PrKに通じるハッチを閉じた状態にも関わらず、船内気圧の低下が検出されたのだ。その後、クルーによる検査とシーリング作業が続けられた結果、NASAは今年1月、PrKからの空気漏洩が停止したと発表した。しかし今回、空気漏洩の再発が明らかになった。

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フィンチ氏によると、ロスコスモスでは現在、PrK内の圧力を下げ、低圧に維持し、必要に応じて再加圧を行っているという。宇宙飛行士や船体の健全性に対して差し迫った懸念はないとし、NASAとロスコスモスは今後の対応について連携しつつ、協議が進められている。

ISSをまだ廃棄できない米国の事情

現時点でISSは2030年の退役、2031年の大気圏再突入が予定されている。NASAはポストISSを担う低軌道ステーションを構築するため、2021年から民間企業を主体とした商業宇宙ステーション計画「CLD」(商業地球低軌道目的地)に取り組んでいる。しかし、同計画が大幅に遅延しているため、NASAは3月24日、その打開策として新たなプランを打ち出した。

NASAが提示した新プラン。コアモジュールを中心として、その両サイドに民間モジュールを2基接続。上部には発電などを担うPCMが接続する (c)NASA
NASAが提示した新プラン。コアモジュールを中心として、その両サイドに民間モジュールを2基接続。上部には発電などを担うPCMが接続する (c)NASA

この新プランによると、まずはNASAが米国所有のコアモジュールを開発・製造し、これをISSに接続する。そのコアモジュールに民間モジュールを最大2基ドッキングさせ、その後、増設されたこれらの新モジュール群を分離することで独立した新ステーションとして運用を開始するという。

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NASAは3月に行われたプレスイベントで、ISSをはじめとした宇宙ステーションの需要が「予想したよりも伸びていない」との認識を示した。その結果、1機または2機の民間ステーションの運用を資金的に支援する予定だったが、現状のままでは1機のみに限られるとした。現行のCLD計画を大幅に変更し、コアモジュールを導入する新プランをNASAが再提案したのは、こうした事情によるものだ。

コアモジュールとPCMの選定に関するタイムライン。コアモジュールの選定完了は2031年末、PCMは2033年中が見込まれる (c)NASA
コアモジュールとPCMの選定に関するタイムライン。コアモジュールの選定完了は2031年末、PCMは2033年中が見込まれる (c)NASA

ただし、このプランの要となる国営コアモジュールは新たに開発・製造する必要がある。その主契約社としては2028年までに複数社の候補が選定され、2031年までにダウンセレクト(絞り込み)される見込みだ。その場合、コアモジュールの運用開始はおそらく2030年代半ばになるだろう。
 
また、コアモジュールとそこに接続した民間モジュールを独立運用するには、大型の太陽電池パネルを備えたPCM(パワー&クーリング・モジュール)が不可欠になるが、その主契約社の最終選定は2033年が見込まれている。であれば同機の運用開始は2030年代後半になる可能性が高い。 

つまり、このNASAによる新プランが実行された場合、ISSの運用は2030年以降、10年近くにわたって延長される可能性がある。ズヴェズダからの空気漏洩の停止を前提として立案された新プランが、今回の再発によってどのような変更が強いられるかは現時点では未知数といえる。場合によっては、ある時期からズヴェズダのハッチが永久に閉じられる可能性もあるだろう。

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編集=安井克至

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