ダリオとフアンの二者択一に収まらない、ほかの2人のCEO
今回の件はアモデイとフアンの二者択一の議論として捉えたくなるが、米国AI界で影響力の大きい他の2人のCEOは、示唆的な形で両者と異なる意見を持っている。
規制ではなく実力で世界に選ばせるべきだとするアルトマン
OpenAIのサム・アルトマンは、明確に異なる立場を打ち出している。規制よりも加速に重点を置いているのだ。2025年5月の上院商務委員会での証言で、彼は米国が中国の代替製品に世界市場を明け渡すのではなく、AIを通じて「我々の価値観を輸出」すべきだと主張した。「米国がAI競争に勝つことは非常に重要だと思います」と彼は上院議員に語った。「それは大いに重要です」。
計算資源の規制という具体論について、アルトマンは著しく中立的である。よりスマートな戦略は、規制によってかえって米国産の代替品開発を加速させるのではなく、米国のAIを十分に有能で信頼に足るものにし、同盟国に実力で選ばせることだ──彼はそう示唆している。
AIを左右する制約はチップではなく電力だと説くマスク
イーロン・マスクは、さらに踏み込んでいる。1月のピーター・ディアマンディスのMoonshotsポッドキャストで彼は、「現在のトレンドに基づけば、中国はAIの計算資源で世界の他地域を大きく引き離す」と予測した。中国の発電量が年末までに米国の約3倍に達するためだという。「中国はチップを何とかする」と彼は言った。
マスクに言わせれば、チップ論争全体は脇道にすぎない。AIの制約要因は電力供給であり、その点で中国は米国を飛び越えつつある。昨夏に私が指摘したように、マスクはこの点を何年も訴えてきた。「中国の発電は軌道に向かうロケットのようで、米国の発電は横ばいだ」。
メンフィスでX.aiのColossus施設という地球最大級の単一AIクラスターを建設している人物の発言である。だとすれば、米国の政策立案者は、AI競争の最優先課題を電力供給に置くべきなのかもしれない。問題は、米国がチップで何をしても、中国の電力網の大規模な増強に比べて意味があるのかどうかという点である。


