シリコンバレーを筆頭に、軍事テック企業のリーダーたちは極めて自信満々だ。ロッキード・マーティンやRTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)といった歴史ある防衛大手よりも低コストで、前人未到の技術革新を成し遂げられると確信している。
彼らの自負にはいくつか裏付けもある。たとえば、米軍の衛星や実験機の打ち上げに使われるロケットの主要サプライヤーとしてイーロン・マスクの宇宙企業スペースXがボーイングやロッキード・マーティンに取って代わったことや、F-35ステルス戦闘機のような最新鋭の有人機で構成される航空部隊より安価なドローン(無人機)で空中戦闘能力を代替できる可能性などだ。
新興防衛テックのアンドゥリル・インダストリーズ創業者のパーマー・ラッキーは2026年2月、米CNBCテレビのインタビューで楽観の極致ともいえる主張を展開した。米国防総省が「不適切な装備品」を購入するのをやめれば、年間5000億ドル(約80兆円)の国防予算で米国を防衛できると述べたのである。これは現行水準の半分、トランプ政権が2026年4月に発表した2027年会計年度の予算教書で要求した国防関連予算の3分の1に相当する。
ラッキーの発言は、正確にはこうだ。「われわれは箍(たが)を締め直す必要がある。現在1兆5000億ドル(約240兆円)もかけて調達している全てを、1兆ドル(約160兆円)をはるかに下回る金額で入手できるようにしなければならない。5000億ドル未満の国防予算で必要なものを手に入れられるようにしたいものだ」
確かにそうかもしれないが、この規模の削減となると、兵器調達予算を削るだけでは実現できない。米軍の規模縮小と、米国が世界のあらゆる紛争にすぐさま介入できる能力を持つことを前提としない現実的な戦略が求められる。
一つの解決策としてラッキーは、同盟国に自衛のための手段や資金を提供することに米国はもっと重点を置くべきだと提案している。しかし、それには支援対象をいっそう厳選し、サウジアラビアによるイエメンでの残虐な軍事作戦や、イスラエルによるガザでの大量虐殺のような戦争を支援してしまわないようにしなければならない。
こうした大きな戦略的課題はさておき、「不適切な兵器」とはいったい何だろうか。候補の一つは間違いなく、トランプ大統領が推進するミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」だ。少なくとも、宇宙空間に展開させた迎撃機が重要な役割を果たし、あらゆる種類のミサイルに対して「抜け穴のない」防衛を実現できると豪語する構想については、そうとしか言えない。



