ファンをパートナーとして迎える共創戦略
ワールドシリーズ連覇を経てドジャースが日本で実施するのは、一方的なサービスの提供ではない。日本のファンコミュニティとの直接的な対話を通じた、新たなビジネスモデルの構築だ。
「単なる展示会以上のものを提供する方法を模索するため、日本のさまざまなグループや企業とお会いしています。今年は、展示会、ウォッチパーティー、そしてドジャースタジアムでの体験を提供するファンクラブ向けのプレミアムな旅行プランなどを用意することになるでしょう。今年は東京で『ドジャーデー』のほか、ウォッチパーティーも予定しています。メンバーに贈る限定アイテムや、ドジャース戦のチケット割引もあります。そして間もなく、ファンクラブ会員限定のプレミアム旅行の機会を発表する予定です」
しかし、ドジャースの真の狙いはそこにとどまらない。リバス副社長は、ファンクラブの運営を自身の子供の成長に例え、コミュニティとの対話の重要性を説く。
「私はこれを、自分の子供たちの視点に重ねて考えています。私には6歳、4歳、7カ月の3人の子供がいます。上の2人が2歳だった頃、まだまだ成長の余地がたくさんあったことを覚えています。学ぶべきことがたくさんありました。我々のファンクラブの『2年目』もまさにその段階です。学ぶべき機会がたくさんあり、コミュニティと協力してこれをどう築き上げていくかを本当に見つけ出していく時期なのです。
我々にとって最も重要なことの一つは、コミュニティが『本当に求めている』ものをどう構築できるかを理解することです。だからといって、要望をすべて叶えられるわけではありません。『大谷選手を連れてきてほしい』と言われても、それは現実的ではありませんからね。しかし、このコミュニティやファンクラブのみなさんと共に、意味のあるものをどう構築していくかを理解するために、我々はここにいるのです。可能性は無限大です。人々が目にするランディングページから提供するサービスまで、物事をさらに進展させ、より良くするための方法を話し合っています」
そして、副社長のスピーチの中で最も核心を突いていたのは、現代のビジネスにおける最強の概念である共創を日本のファンに向け、次のように力強く宣言した。
「9回目のワールドシリーズ優勝を経て私たちが日本に来たのは、ただ優勝を祝うためだけではなく、みなさんが私たちと同じようにその喜びを感じられるようにするためです。私たちは、みなさんと一緒にこのファンクラブを築き上げたいのです。このファンクラブが、何世代にもわたって成長していくことを願っています。
今はまだ2年目です。成長の機会はまだまだたくさんあります。強調してもしきれませんが、みなさんの『ために』ではなく、みなさんと『共に』このファンクラブを作っていくのが待ちきれないのです。それこそが、私にとってワクワクすることです。ドジャースと日本の関係を新たな高みへと引き上げる機会。それは、みなさんと一緒に実現するのです」
ファンを単なる消費者として扱うのではなく、ブランドを共に構築する絶対的なパートナーとして迎え入れる。ロサンゼルス・ドジャースの強さは、莫大な資金力だけでも、大谷翔平の圧倒的な才能だけでもない。現場の熱狂をビジネスの力へと変え、テクノロジーで体験価値を高め、歴史の文脈を重んじながら、ファンと手を取り合って未来の市場を切り拓いていく。
グラウンド上の圧倒的な勝利と、ビジネスにおける果てなき革新。その両輪を完璧に回し切るドジャースの精緻なエコシステムは、これからも世界のスポーツビジネスを牽引しそうだ。


