食&酒

2026.06.14 11:15

「鮨が消える日」が来る シェフたちが農水省に訴えた海の現実

日本橋蛎殻町すぎたの杉田孝明

日本橋蛎殻町すぎたの杉田孝明

「市場に行っても、魚の量が減り、質も落ちている。昔はよかったと言いたくないけれど、今はほとんどの魚が“昔はよかった魚”になってしまった」

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そう話すのは、鮨店「日本橋蛎殻町すぎた」の杉田孝明だ。実際、日本の海面漁業の漁獲量は、ピーク時の3分の1以下にまで落ち込んでいる。

鮨職人やシェフたちは、日々仕入れと向き合っているからこそ、この変化を目の当たりにしている。だが一般レベルでも、例えば回転寿司のメニューから魚種が減っていたり、スーパーの鮮魚コーナーにノルウェー産やチリ産のサーモンが整然と並んでいたり、地方に行っても地魚が食べられなかったりと、違和感を感じている人もいるのではないだろうか。

そのような状況を正確に把握し、問題点や解決策を提言書「“やっぱりサカナが手に入らない!” 〜豊かな海と食の未来を実現するためのシェフの提言3.0〜」としてまとめ、農林水産省に提出したのが、一般社団法人Chefs for the Blueだ。

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提言当日は、代表理事の佐々木ひろこをはじめ、フランス料理の岸田周三(カンテサンス)、鮨の杉田孝明(日本橋蛎殻町すぎた)、イタリア料理の坂本健(チェンチ)、日本料理の林亮平(てのしま)、中国料理の川田智也(茶禅華)と、日本を代表するシェフたちが顔を揃え、鈴木憲和農林水産大臣及び藤田仁司水産庁長官と議論を交わした。

鈴木憲和農林水産大臣とChefs for the Blueのメンバー
鈴木憲和農林水産大臣とChefs for the Blueのメンバー

鮨種62魚種のうち、科学的数量管理の対象はわずか9種

日本の海面漁業の漁獲量は、1984年のピーク時(1151万トン)から、2024年には278万トンへと、約76%も減少している。沿岸漁業(養殖業含む)に限れば、227万トンから76万トンへと急落した。食用魚介類の自給率は、1964年に113%だったものが、今や52%だ。

もちろん国による資源管理も行われているが、例えば江戸前鮨の鮨種とされる62魚種のうち、国が科学的根拠に基づくTAC(漁獲可能量)管理を行っているのは、わずか9種、15%にすぎない。残り53種の大半は、漁業者たちによる自主管理に委ねられている。その内容も、週に1〜2日の休漁日を設けるといった程度がほとんどだ。

提言書には、その惨状を裏付けるグラフが並んでいた。コノシロ(コハダ)、マアナゴ、シャコ、ハマグリ、マコガレイなど、江戸前鮨を象徴する沿岸魚種の漁獲量推移をたどると、いずれも右肩下がりの急斜面が続いている。

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