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2026.06.04 10:00

AIが変える「景気後退」の常識──高い経済成長と失業率の急上昇が両立する社会

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AIは、自動化が難しい多くの仕事へすでに同時に入り込み始めている

テクノロジーは常に一部の仕事を奪ってきた。農業機械は人手による労働の必要性を減らした。ATMは銀行窓口係の数を減らした。電話交換手は姿を消した。だが通常、労働者には移る先があった。新しい産業が現れ、新しい仕事が生まれた。

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AIは違うかもしれない。あまりに多くの種類の仕事へ同時に入り込んでいるからだ。AIはすでにコードを書き、契約書を確認し、顧客対応を行い、表計算シートを分析している。そうした仕事の多くは、長い間、自動化が難しいと考えられてきたものだ。

AIを大きく組み込んだ職場で人員削減を試し始めた企業

企業はすでに、AIを大きく組み込んだ職場がどのようなものになるかを試し始めている。メタ(Meta)は、マーク・ザッカーバーグがAIに数十億ドル(数千億円)を投じる一方で、8000の職を削減している。スクエア(Square)とキャッシュアップ(Cash App)の親会社であるブロック(Block)は、ジャック・ドーシーが、この技術によって会社が人間に求めるものが変わったと述べた後、4000超の雇用を削減した。英銀スタンダードチャータード(Standard Chartered)は、AIと自動化により、2030年までに「価値の低い人的資本」に当たる7000超の職務を削減できると見込んでいる。

すべての「AIによるレイオフ」が本当にAIを理由としているわけではない。企業は過剰採用してきた。投資家は経費削減を求めている。そして経営者は、いまや人員削減の格好の口実を手にしている。それでも、以前考えていたほど多くの労働者は必要ないかもしれないと気づき始めている企業は増えている。

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力強い成長と高い失業率が同時に起こると、経済を判断する従来の方法は意味を失う

経済政策を専門とするワシントンのシンクタンク、ルーズベルト研究所(Roosevelt Institute)の主任エコノミスト、マイケル・マドウィッツは、経済が到達し得る奇妙な状態のすべてに名前をつけるほど、経済学者は便利な言葉を持っていないと述べる。「スタグフレーション」という言葉が一般的になったのも、1970年代にインフレと失業が同時に上昇し得ることが示されてからだった。AIは、力強い成長と高い失業率が同時に起きるという、独自の不一致を生み出す可能性がある。

マドウィッツは、雇用のない未来を予測しているわけではない。彼が言っているのは、経済学入門の教科書を捨てるべき時期に来ているということだ。経済を判断する従来の方法が、意味を失うかもしれないからである。歴史的に、国民所得のおよそ3分の2は給与を通じて労働者に渡り、残りの大半は利益を通じて、企業を所有する側の手に渡ってきた。多くの経済モデルは、この分配が長くかなり安定していたため、単純にそれを前提としている。だがその均衡は歴史の産物であり、自然法則ではない。AIによって企業がより少ない労働者でより多くを生産できるなら、利益のより大きな部分が企業の所有者に流れ、従業員に渡る分は小さくなる可能性がある。

強い経済と弱い労働市場が同時に存在するなら、無視するのは難しい。失業率がおおむね5%を超えるだけで、経済学者は不安を覚える。そこに、主に利益によって押し上げられる高いGDP成長と格差拡大が加われば、景色は変わる。より大きな社会的影響は言うまでもない。「ここでは健全なGDP成長が見られるかもしれません」とマドウィッツは言う。「しかし、これは健全な経済ではありません」。

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翻訳=酒匂寛

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