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2026.06.04 10:00

AIが変える「景気後退」の常識──高い経済成長と失業率の急上昇が両立する社会

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経済的に成長しても失業率が8%に達する経済をGDPで測れるか

経済学者は、まもなく奇妙な問題に直面するかもしれない。企業は成長する。GDPは増える。利益も堅調だ。だが、雇用はそれについてこない。AIによって企業がより少ない労働者でより多くを生産できるようになれば、米国は数字の上では豊かに見える一方で、何百万もの世帯は現実には貧しくなったと感じるかもしれない。GDPが伸び、失業率が8%に達する経済など、数年前なら現実味がなかった。だが日を追うごとに、それは少しずつあり得る話に聞こえてきている。経済がその方向へ向かうなら、経済学者は、成長だけで経済の健全性を測れるのかを考え直さざるを得なくなるかもしれない。

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大恐慌以降、GDPは経済の健全性を示す主要な尺度であり続けてきた。1971年にその業績でノーベル経済学賞を受賞することになる経済学者サイモン・クズネッツは、1930年代、米政府とともに経済崩壊の実態を追跡するなかで、この指標を開発した。GDPが増えれば、経済は成長していると見なされる。一方で、GDPが十分に長い期間縮小すれば、経済はリセッション(景気後退)に陥っているか、それに近い状態にあると見るのが一般的だ。実際にはそこまで白黒がはっきりする話ではない。景気後退の公式判断は全米経済研究所(NBER)が行い、ほかの要素も含めるからだ。それでも基本的な枠組みは何十年も変わっていない。成長と景気後退は同時には起きないものとされてきた。

近代の米国史を通じて、景気後退は容赦ない規則性をもって訪れてきた。1950年から2010年までに、米国は10回の景気後退を経験した。おおむね6年に1回のペースである。経済は1953年、1958年、1960年、1969年に縮小し、1970年代のインフレと石油ショックの時期には2度後退した。さらに、ポール・ボルカー率いる連邦準備制度理事会(FRB)が厳しい高金利でインフレを抑え込んだ1980年代初頭にも後退し、その後、貯蓄貸付組合(S&L)危機、ドットコム・バブル崩壊、そして最後に2008年の住宅市場崩壊へと続いた。細部は変わっても、大きなパターンは同じだった。企業利益が落ち込み、それに伴ってGDPも下がった。米国人は職を失い、企業は倒産した。経済は病んでいるように見えた。実際に病んでいたからである。

2008年以降は景気後退が起きず、従来の指標がそろわなくなった

その後、何かが変わった。短期間のコロナ禍による急落を除けば、米国は2008年以降、従来型の景気後退を経験していない。近代米国史上最長の景気拡大は、2009年6月から11年後のパンデミックによる経済停止まで続いた。その後も、経済は景気後退を予測するモデルを何度も覆してきた。大規模な政府刺激策、何年にも及ぶほぼゼロ金利、グローバル化、そしてテクノロジー企業の存在感の高まりが、成長を支えた。しかし、GDPと株価が上昇する一方で、住宅、医療、教育のコストは多くの人の給与より速く上がり、資産格差は広がった。従来の指標は、かつてのようには足並みがそろわなくなった。AIは、企業が以前ほど多くの労働者を必要とせずに成長できるようにすることで、この断絶をさらに広げる可能性がある。

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翻訳=酒匂寛

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