欧州

2026.05.29 07:30

ドローンとサーモバリック・ロケット弾を搭載したウクライナの無人艇が出現 「発射母機」化進む

FPVドローンとロケット弾発射機を搭載しているとされるウクライナの無人水上艇。通信アプリ「テレグラム」に投稿された動画から

リッパートはさらに「(シュメーリは)占領下にある沿岸陣地に対する襲撃でドローンと組み合わせて使用される可能性もあります。こうした任務は無人システムだけでも実行可能でしょう」と推測し、このロケット弾発射機は「別のボートで特殊部隊が上陸する際の火力支援に用いられる可能性もあります」と続けた。

advertisement

スペツナズの大天使は、ウクライナが沖合のガス掘削施設に対する攻撃や、南部戦線での急襲上陸作戦をさらに仕掛ける可能性も排除できないと警戒感を示している。

新アメリカ安全保障センター(CNAS)の非常勤シニアフェロー、サミュエル・ベンデットは筆者の取材に、今回確認された水上ドローンの進化は、USVをより多用途な攻撃プラットフォームに転換していくというウクライナのより大きな取り組みに合致していると解説した。

「ウクライナは引き続き、USVプラットフォームを活用してロシアの複数の目標を攻撃しようとしています。海上でも、陸上でもです」とベンデットは言う。「陸上目標に対するFPVドローンの使用ではすでに成功を収めていますし、一部のUSVは戦闘機やヘリコプターといったロシアの空中目標を撃墜する戦果をあげています」

advertisement

防衛アナリストのオレナ・クリジャニウシカは筆者の取材に、ウクライナの水上ドローン「シーベビー」は小型FPVドローンを、FPVドローン自体が安定して到達できる距離をはるかに超えた先まで運べると説明した。

ウクライナはこの2つを組み合わせた攻撃をすでにロシアの海上・沿岸目標に対して行っている。クリジャニウシカは、ウクライナが以前、海上プラットフォームから調整して行った光ファイバーFPVドローン攻撃に触れ、それを、隠密に運び込んだFPVドローンでロシア軍の複数の爆撃機などを破壊した2025年の「クモの巣作戦」になぞらえ「海上版クモの巣作戦」と呼んでいる。

この組み合わせの利点は単純明快だ。母機によって複数のFPVドローンを目標近くまで運搬すれば、それらによる連携攻撃が可能になり、空中ドローン1機が全行程を生き延びるのを当てにしなくていい。

キンブルン砂州周辺で確認されたUSVは、海洋ドローンの多用途兵器プラットフォーム化を進めるというウクライナの取り組みが、また一歩前進したことを示すものと位置づけられそうだ。裏を返せば、これはまったく新しい方向性に踏み出したという動きではない。

2024年12月、ウクライナ国防省情報総局(HUR)は、R-73空対空ミサイルを水上発射型に転用した対空ミサイルを搭載した「マグラV5」水上ドローンが、占領下クリミア半島の近海の黒海上空でロシア軍のMi-8ヘリコプターを撃墜する様子とされる映像を公開した

次ページ > 適応を図るロシアの課題

翻訳・編集=江戸伸禎

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事