トランプ政権の駐イタリア大使であり、不動産王のティルマン・ファティータが、シーザーズ・エンターテインメントを57億ドル(約9063億円。1ドル=159円換算)で買収する。これにより、ラスベガス・ストリップ地区で最も有名なカジノ運営会社の1社が、NBAのヒューストン・ロケッツ、カジノのゴールデン・ナゲット、レストランのランドリーズなどを束ねる彼の巨大な帝国へと組み込まれることになる。
この買収でシーザーズの株主は1株あたり31ドルの現金を受け取る。これは、合併の噂がリークされる直前の取引日である2月25日の株価に対し、49%のプレミアムを上乗せした金額にあたる。
現在69歳のファティータは、現金で総額57億ドル(約9063億円)を支払うとともに、約119億ドル(約1.89兆円)にのぼるシーザーズの負債を引き受ける。そのため、今回の買収総額は約176億ドル(約2.8兆円)に達する。
米国時間5月28日に発表された合意に基づき、シーザーズは7月11日まで、より好条件の買収提案を模索することが認められている。
ファティータは2024年の大統領選でトランプ陣営に多額の寄付を行っており、駐イタリア大使職に就任するため、昨年4月にランドリーズのCEOおよびヒューストン大学機構の理事長を辞任した。ただし、自身が保有するすべての資産の統括会社であり、今回シーザーズを買収するファティータ・エンターテインメントの所有権は維持している。
ファティータは2018年にも合併に向けてシーザーズにアプローチし、翌年には同社の株式を買い進めたと報じられたが、取引の成立には至らなかった。ストリップ地区に位置するシーザーズ・パレス、ハラーズ、プラネット・ハリウッド・リゾート・アンド・カジノなどシーザーズが保有する約50以上のカジノと、彼が保有するゴールデン・ナゲットおよびランドリーズの資産を統合すれば、米国内で最大級の非上場リゾート会社が誕生することになる。
現在のシーザーズ・エンターテインメントは、それ以前に行われた合併によって誕生した企業だ。2020年、エルドラド・リゾーツという、より規模の小さなカジノ会社が、老朽化した施設と多額の負債を抱えていた元のシーザーズを買収した。その際、エルドラドは統合後の新会社名として、より知名度の高い「シーザーズ」の名を引き継いだ。この取引が実現した背景には、億万長者で著名投資家のカール・アイカーンがシーザーズ株の大部分を買い占め、売却を強く迫ったという事情もある。それ以来、シーザーズはオンラインスポーツ賭博に巨額の投資を行ってきたが、依然として多くの負債を抱えており、ラスベガスを訪れる観光客の減少による打撃も受けていた。



