サイエンス

2026.06.05 17:00

あくびの理由は「酸素不足ではない」、脊椎動物4億年の進化が語る真実

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そして、最も説得力があると思われるのが、2021年に『Communications Biology』に掲載された比較研究だ。この研究では、哺乳類と鳥類、計101種について、あくびの持続時間を分析し、あくびの長さが、脳の大きさやニューロンの数と相関関係にあると結論づけた(体のサイズについて補正を行なった後でも、この関係が認められたという)。

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あくびの持続時間は、脳が大きく、代謝的な要求が多い動物の方が長かった。この相関関係は、哺乳類と鳥類という、分類学的に非常に幅広い領域に共通して認められることから、ここには、深く根付いた、機能的に一貫した適応があることが示唆される。

また、臨床医学の分野でも、あくびは注目されている。多発性硬化症やてんかん、偏頭痛や不安症などの疾病では、通常と異なるあくびのパターンが発生することが知られており、脳の温度制御機構がうまく働いていないと考えると、つじつまが合う可能性がある。さらに、「過度にあくびをする現象」を、脳の温度制御メカニズムに影響する疾病の兆候として利用することも提案されている。

ただし、熱制御仮説だけがあくびを説明するわけではない。この説を補完するものとして、「あくびには、覚醒状態を制御する役割がある」という説がある。これは特に、覚醒状態から睡眠状態に向かう時(あるいは、その逆)に顕著になる機能だ。

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大人が最もあくびをすることが多いのは、目が覚めた時、および寝る前の時間帯だ。これはまさに、脳がシフトチェンジする時と重なる。完全に覚醒するためにウォーミングアップをしているか、覚醒状態からクールダウンしていくか、というタイミングだからだ。

ここで使われるメカニズムは、あごと顔の筋肉の伸長が、脳幹にある、覚醒状態を制御する広範なネットワーク「網様体賦活系」を活性化する、とみられている。

また、あくびに伴って循環系の変化も生じ、脳に流れ込む血流を一時的に増やす役割を果たす。それが、覚醒と睡眠の移行期のぼんやりした時間帯に、覚醒度を高める上で一役買っている可能性がある。

これら二つの仮説は、対立するというよりは、むしろ互いに補い合うものだ。寝ている状態から徐々に覚醒状態に移行する時や、寝る前にクールダウンする時に、脳は、あくびの温度調節機能からも恩恵を得ていると考えられるからだ。こうした見方からすると、あくびとは、神経の状態が不安定なタイミングで活用される、複数の目的を持つ生理的ツールとして捉えられる。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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