キャリア

2026.06.18 13:15

片山大臣の英語テクニック、彼女はダボス会議の発言で「異文化の溝」をどう埋めたか

(写真は"The 2026 IMF/World Bank Spring Meetings"から、Getty Images))

分かりやすい<本論>の例

この質問はディスカッションの中盤頃に投げかけられたものであり、それ以前には中国との関係やアメリカの関税について議論が行われていた。その流れを受け、ファシリテーターのギデオン氏は「課題の多い米中関係の中で、日本はどのように経済維持を図っていくのか」という趣旨の質問を大臣へ投げかけた。

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大臣の回答(要約)は次の通りである。

背景:日本は地理的にアメリカと中国の間に位置し、長年その狭間で外交を行ってきた。

本論①:日本は両国との戦争も経験しており、両国への理解を深めてきた。

本論②:努力の結果、日本はアメリカと安全保障体制を築き、G7でも強固な関係を維持している。

本論③:中国との課題がある一方、G7諸国は日本を支援しており、日本はアジア唯一のG7加盟国として50年間その立場を維持してきた。

補強要素:さらに日本円はアジアで唯一の完全自由通貨である。

結論:私たちは地政学的に常に最善を尽くしている。

大臣の<主張>は「日本は地政学的に常に最善を尽くしていく」である。一見すると抽象的な回答に見える。しかし実際には、複数の<本論>によって結論へ至る理屈が順序立てて示されているため、回答全体はローコンテクスト型となっており、主張内容は明確になっている。

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この構造は政治的議論だけではない。英語圏のコミュニケーションでも同様に、明確な<主張・結論>と、それを支える理解しやすい<本論>が求められる。日本語のハイコンテクスト型が「空気を読む」ことを前提とするのに対し、英語のローコンテクスト型では、話し手が理屈を明示することが期待されるのである。

まとめ

日本では英語のコミュニケーションを「ストレート」と表現することが多い。しかし本稿で見てきたように、この「ストレートさ」とは単純に直接的な言い方を指しているわけではない。むしろ、「行間が狭い」こと、すなわち対話相手が誤解や認識のズレを生じさせる余地をできる限り埋めるような構成を指している。

次ページ > <本論>を組み立てる練習を繰り返し行う

文=松樹悠太朗 編集=石井節子

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