経営・戦略

2026.06.05 13:15

欧州の模倣を超えて リシャール・コラスはTASAKIをどう率いるのか

TASAKI グローバルCEO リシャール・コラス

TASAKI グローバルCEO リシャール・コラス

ジュエリーブランド「TASAKI」は3月、グループの経営体制を変更した。長年ブランドを率いてきた田島寿一がTASAKIホールディングスの会長となり、新たにグローバルCEOにリシャール・コラスを迎えた。

コラスは長くシャネル日本法人代表取締役社長および会長を務め、日本のラグジュアリー業界を熟知する存在だ。23年からその第一線は離れ、イオンの社外取締役を務めていたが、再びラグジュアリーの最前線に戻ってきた。

TASAKIは1954年に創業し、真珠の生産から加工、販売までを一貫して手がける。真珠はフォーマルな印象も根強いが、2010年代にはNYのファッションデザイナー、タクーン・パニクガルをクリエイティブ・ディレクターとして招き、真珠を直線に並べたり、スタッズと合わせたりするなど斬新なデザインも発表してきた。

昨今、ラグジュアリー市場は弱ってきていると言われるが、価値保存性の高い資産としてのブランドのジュエリーは需要が底堅い。カルティエを擁するリシュモングループのジュエリー部門が大きく売上を伸ばしているほか、ティファニーを傘下にもつLVMHでもジュエリー分野は堅調を維持している。インバウンドの急増にうつる日本への関心の高さも追い風だ。このタイミングでブランドをどう率いていくのか。コラスCEOに聞いた。

──どのような経緯でTASAKIグローバルCEO就任に至ったのでしょうか。

きっかけは昨年12月、パリにいるヘッドハンターの友人からの「あなたにぴったりの仕事がある」という電話でした。新しい仕事を探していないと一度は断りましたが、彼女から仕事の詳細を聞いて気持ちが変わりました。

TASAKI現会長・田島寿一氏は、クリスチャン・ディオール代表取締役社長やLVJグループ フェンディ ジャパン カンパニー社長兼CEOを歴任した方で、同じ業界の仲間であり、ときにライバルでもあった存在です。

2009年に彼が入社してから、TASAKIに大きな変革がもたらされました。それまでの「田崎真珠」は、いわば真珠メーカーという位置付けでしたが、デザイナーを起用するなどして、ジュエリー業界の“アクター”となりました。

また、私はTASAKI創業者の田﨑俊作氏も存じ上げています。初めてお会いしたのは、銀座でシャネルのビルをオープンするにあたり、SEIKOの服部禮次郎氏や資生堂の福原義春氏など、この地域の経営者の方々へ挨拶回りをした時のこと。田﨑氏は本当に素敵な方で、一緒に食事をし、真珠のビジネスについて聞く機会もありました。

私自身は、50年近くラグジュアリー業界に身を置き、ヨーロッパのブランドで尽力してきました。シャネルが今ほど大きくない頃は、日本からの提案をパリが受け入れることもありましたが、どのグローバルブランドも、本国・本社の権限が強い。販売やマーケティングにおける意向をそのままローカルで展開する難しさを感じていました。

TASAKIの本社は日本にあります。日本のマーケットの声を聞きながら、方針を決めていくことができる。そんな日本のブランドのために頑張ってみたいと思ったのです。

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写真=若原瑞昌 編集=鈴木奈央

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