TASAKIには優れた商品とストーリーがあります。例えば、創業者の時代から、TASAKIは環境に細心の注意を払ってきました。海が汚れていては美しい真珠は生まれないからです。長崎県の九十九島と三重県の伊勢志摩、そして愛媛県の宇和島にある3つの自社養殖場は、今、消費者が求めているような穏やかでピースフルな場所です。
ヨーロッパのブランドが近年になって取り組み始めた環境配慮を、私たちは70年以上前から続けてきました。このDNAはグローバル市場においても大きな価値になると考えています。
──TASAKIは、ヨーロッパのラグジュアリーブランドを超えることができるとお考えですか?
ヨーロッパのブランドと比較するのではなく、私たちなりのラグジュアリーブランドを築いていきたいと考えています。
日本はいま世界中で注目されています。特にフランスでは、日本文化への関心が非常に高い。どこかミステリアスな日本の様式への興味は、一時的な流行ではなく、世代を超えて受け継がれていくものでしょう。

実際、私自身が最初に日本に抱いたイメージは「エキセントリック」でした。54年前に初めて来日し、原宿のタケノコ族を目にしたときは、その姿はもちろん、彼らが月曜日はスーツに着替えて仕事に向かうことを知り、大きな衝撃を受けました。
日本の女性も二面性があります。私の日本人の妻は、本人は無意識かもしれませんが、洋服を着ている時と着物をまとっているときでは雰囲気がまったく異なり、その姿にとても魅了されました。最近は、あまり和装をしてくれないのですが(笑)。
私も含め、世界はもっと日本の文化を知りたいのだと思います。日本らしさ、そしてこれまで大切にしてきたTASAKIのストーリーを守りながら、グローバルなラグジュアリーブランドを目指していきます。
移行期は苦しいですが、できるだけ早く変革を進めていきたい。フランスでは、大統領就任後100日間が政策を進めやすい“ハネムーン期間”と言われています。ブランドにおいては、変革の鍵を握るのは販売員です。TASAKIのお店で働く女性たちはコミュニケーション能力が高く、話題を自然に広めてくれますから。店頭や商品から、その変化を感じていただける日はそう遠くないはずです。


