──グローバルCEOとして、今後どのようなことに着手されるのでしょうか?
これまで日本のブランドは、ヨーロッパブランドの真似をすることに必死でしたが、それではグローバルなラグジュアリーブランドになることはできません。
もともとは、ヨーロッパに対するコンプレックスもあったのだと思います。実際、TASAKIを含め、日本の多くのブランドは広告にブロンドで青い目の女性を起用してきましたが、私はなぜ日本のブランドが日本人を起用しないのか、という大きな違和感を抱いていました。

私のTASAKIでのミッションは「Be the first international Japanese luxury brand」、日本初のグローバルなラグジュアリーブランドになることです。そのために、私が社員に最初に伝えたメッセージは、「We have to be proud of being Japanese(日本人であることに誇りをもつ)」でした。
「ものの哀れ」「侘び寂び」「一期一会」など、日本ならではの美学や価値観をブランドに組み込んでいく必要があると思っています。例えば、売り場にも日本的な美しさを取り入れたい。日本にはない大理石を敷くのではなく、日本らしいスペース作りやお客様へのおもてなしの心遣いを大切にしていきたいのです。
とはいえ、私はひとりでは何もできません。だからこそ、どんな意見にもまずは耳を傾けます。悪いアイデアはありません。良くないのは、アイデアが出てこない状態です。そして今、販売員の声を受けた動きで、制服のリデザインを進行しています。デザイナーについても日本人に依頼したいと思っています。
──長くグローバルラグジュアリー産業に身をおいてきたコラスさんは、昨今の業界をどのようにご覧になっていますか?
正直に申し上げますと、元気がありません。ブランドがあらゆる面でノイジーになっているように感じます。店舗の装飾や音楽などは、ブランドのストーリーとは関係ないもので溢れています。消費者は過剰な装飾に疲れているのに、それに気づくことのできていないブランドが多くあるように感じています。
私が思うラグジュアリーブランドは、卓越した商品があり、ブランドを通して素晴らしいストーリーを伝えています。日本は優れたものづくりの国であるにもかかわらず、ストーリーテリングが得意でないために世界的なラグジュアリーブランドとなっていない現実があります。


