米アイダホ州ボイシに本社を置くメモリーチップメーカー、マイクロン・テクノロジーの会長兼社長兼CEOであるサンジェイ・メヘロトラ(67)が億万長者の仲間入りを果たした。同社株が過去最高値を更新し、推定資産は12億ドル(約1908億円。1ドル=159円換算)に達した。
メヘロトラは2017年からマイクロンの社長兼CEOを務めている。それ以前は、フラッシュメモリーのパイオニア企業サンディスクの共同創業者兼CEOとして長く経営を担っていた。同社は2016年にウエスタンデジタルが約160億ドル(約2.54兆円)で買収した。
マイクロンの株価は急騰しており、2026年に入って194%、過去12か月では実に863%上昇した。AIサーバー向けメモリーチップの需要が爆発的に拡大したことが背景にある。
マイクロンの時価総額は現在約1兆ドル(約159兆円)に達した。サムスンが5月初旬にこのマイルストーンに到達し、SKハイニックスは米国時間5月26日に大台を突破した。マイクロンは、「1兆ドルクラブ」入りを果たした3社目のメモリーチップメーカーとなった。マイクロンはコメントを控えた。
今月、サムスンが最初に時価総額1兆ドルを(約159兆円)突破した。マイクロンが5月26日午前に続き、SKハイニックスは同日夜に到達した。またSKハイニックスは、サムスン、TSMCに次いでこの評価額に到達した3社目のアジア企業となった。
AI関連インフラの構築がメモリーチップ業界の構図を一変させた。かつては景気循環に左右されることで知られた事業が、今や最もホットな市場の1つへと変貌を遂げている。メモリーチップは、ChatGPTやClaudeといったAIモデルの学習・運用に必要なデータをエヌビディアのGPUなどに供給する役割を担う。マイクロン、サムスン電子、SKハイニックスがメモリーチップを大規模に製造する3大プレーヤーであり、AI需要は3社すべての株主に恩恵をもたらしている。
メモリーチップブームで利益を得ているのは誰か
この株価上昇により、業界全体で巨額の富が生まれ、さらに膨らんでいる。サムスンを支配する李一族の4人が現在、韓国の富豪トップ4を占めている。筆頭は会長の李在鎔(イ・ジェヨン)で、純資産は6カ月足らずで2倍以上に増加し、350億ドル(約5.57兆円)近くに達した。妹のブジン(イ・ブジン)とソヒョン(イ・ソヒョン)、母のホン・ラヒ(洪羅喜)がそれぞれ129億ドル(約2.05兆円)、122億ドル約1.94兆円)、121億ドル(約1.92兆円)でこれに続き、トップ4を形成している。
SKハイニックスを傘下に持つSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長の資産も急増しており、1月時点の17億ドル(約2703億円)から3倍以上の56億ドル(約8904億円)に跳ね上がった。
メロトラのビリオネア入りは、1958年にインド・カプールで生を受けた1人の男の長い軌跡に、新たな節目を刻むものとなった。18歳で渡米し、カリフォルニア大学バークレー校で学んだ。1988年、イーライ・ハラリ、ジャック・ユアンとともにサンディスクを共同創業した。
サンディスクは、フラッシュメモリーストレージの先駆者として1995年に上場。2016年、当時CEOだったメヘロトラが主導した160億ドル(約2.54兆円)の取引でウエスタンデジタルに売却された。翌年、メヘロトラはマイクロンのCEOに抜擢され、当時株価が約30ドルで取引されていた会社を引き継いだ。マイクロン株は彼が最高経営責任者に就任して以来約3000%上昇しており、報酬パッケージの一部として付与された大規模な株式報酬の恩恵を受けてきた。
なお、ウエスタンデジタルは2025年初頭にサンディスクを独立した上場企業として再スピンアウトした。サンディスク株もマイクロンを押し上げているAIメモリー需要の追い風を受けて2026年急騰している。年初来で477%上昇、過去12カ月間では驚異の4064%上昇を記録し、水曜終値で1株1590ドルに達している。
「マイクロン、いやマイクロンは素晴らしい。数千億ドル(数十兆円)を投資している」。ドナルド・トランプ大統領は5月22日、ニューヨークでの集会でそう述べた。大統領の言及後、最初の取引日となった月26日には株価が18%超急騰した。メヘロトラは5月中旬の中国への公式訪問で、イーロン・マスク、ジェンスン・フアン、ティム・クックを含む他のビジネスリーダーとともにトランプに同行した。
メモリー事業は歴史的に景気循環の影響を強く受けてきた。旺盛な需要の後には急激な反転が起こり、過剰在庫と価格暴落を招くことが多かった。AIがより持続的な需要を生み出しているため今回は状況が異なるという見方がある一方で、過去のメモリー業界の崩壊を指摘する声もある。たとえば1990年代には、パソコンとインターネットの大規模普及を受けて業界が積極的な能力増強に走ったものの、その後の需要鈍化で拡張投資が裏目に出た例がある。



